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海と研二とクラゲの話 ~夏の思い出~

お盆ですね。

最大9連休の方も。などと先ほどのニュースで言っておりました。

うらやま。

私には… そんなもの… ないのです…

私のお盆休みは、11日と12日の2連休だけ。

しょぼっ。

でも、仕方がないのです。

だって、人がいないんだもん。

社の老中たち、人を育てる気がないんだもん。

自分たちはもうすぐ定年だからって、やる気がないんだもん。

だったら……

とっとと、会社から

♬出て行ってくれぇ~、あぁ~ あぁあ~


ところで。

学生の頃はありましたよ。お盆休み。なんたって、学生ですから!

滋賀の実家に帰省して、お墓参りをして、琵琶湖があるのに福井へ海水浴へ行くのです。

大体、毎年同じような行動パターンでした。

という事で、福井の海での楽しい夏休みの思い出を2つほど紹介させて頂きます。

一つ目は、ほんころがし18歳の夏休み。

海水浴場で海の家から駐車場の方を何気なく眺めていました。

そこには羽賀研二さん?と見紛うほどの超イケメン「研二もどき」が立っていました。

茶髪にサングラス。真っ黒に日焼けした細マッチョ。かっけぇ~。

研二もどき(以下「研二」)はめちゃくちゃカッコつけていました。

俺、カッコいいだろ?だろ?

と言わんばかりに、いちいちポーズを決めるのです。

でも、研二を見ているのは多分、私と友人の2人だけでした。

ポーズは全部で5パターン位しかありませんでした。

あまりのレパートリーの少なさに、見ているだけで十分面白かったので、しばらく眺めていました。

しばらくすると研二は自分のポーズに飽きたのか、10mほど移動しました。新たな場所で、ポールとポールの間に渡してあるチェーンに片足をかけてポ-ズをキメようとしました。

そこはダメだぞ。研二! そのチェーンは固定されていないんだ!

教えてあ~げない。

そんな事を知るはずもない研二は、チェーンを利用した新ポーズをキメようとしました。

研二が長い足を振り上げ、そしてチェーンに勢いよく振り下ろし、体重をかけたその瞬間、ガラガラガラガラ~ッとチェーンがずり下がり、バランスを崩した研二は大股を開きながら砂浜へと転がり落ち...…

たかに見えたのですが、そこは流石の研二。

手をマンガみたいにグルグルグルグル~ッと回して踏ん張ったのです。

すげぇ体幹!

とはいえ、研二の慌てふためいた超ダサな瞬間を見てしまいましたから。私たち。
踏みとどまったとはいえ、もう可笑しくて可笑しくて、私たちはぎゃははははは~っ^^! と笑ってしまいました。

すると、踏みとどまった研二は物凄い形相で私たちの方を見て「なに笑っとんじゃ~っ!」と走ってきたのです。

こりゃぁ、マズイ! と、すぐさま逃げました。

というお話。

ちなみに研二、鈍足でした。

#カッコつけマン


そして二つ目は、研二事件の翌年、ほんころがし19歳の夏休みです。

研二事件とは別の海水浴場です。

そこには、浜から30~40mほど沖に6帖ほどの広さのイカダがありました。

「お盆を過ぎるとクラゲが出る」と言います。

その日、午前中は少しだけいました。クラゲが。

浜辺からクラゲに向かって木片やら貝殻などを投げて、あっちいけあっちいけと無意味な事をやって遊んでいました。

海の家でお昼ごはんか何ごはんか分からない食事を済ませてひと泳ぎした後に、友人と2人で「イカダで昼寝しよう」という事になり、イカダまで泳いでいきました。

どのくらい寝たのでしょうか……

目を覚ました時は、そんなに時間が経った感じはしませんでした。

もう十分に楽しんだからそろそろ帰るか、とイカダの上で立ち上がった時、異変に気が付きました。

海の色が変わっていたのです。

一瞬流されたかと思いましたが、そうではありませんでした。

イカダと浜辺の間に、夜空の天の川のような、幅10mはあるであろう白い帯ができていました。

え、何? 潮流? まずいかも。

でも、少し様子が違います。

よ~く見ると...…

クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。
クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。
クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。クラゲ。

クラゲの大群が白い帯に見えていたのです。

しょえぇ~っ!

その白い帯は遥か彼方まで続いています。

潮流と同じくらいヤバイ!

帰れへんぞ!

友人「お前が朝、クラゲをいじめたからや。仕返しにきたんや」

私「そんなワケあるか」

どうするんよ?

泳ぐ?

メッタ刺しにされて死ぬわ。

そやろな...…

とその時、救世主が現れました!

クラゲの帯に沿うように、一艘の手漕ぎボートが遠くから近づいてくるのが見えました。

乗っていたのは、若い女の子2人です。

何かキャアキャア言ってました。

おそらく「クラゲ!クラゲ!」と言っていたのだと思います。

だんだん近づいてきました。

私たちは嬉しくてイカダの上で即興の救世主ダンスを踊りました。(今思えばコレがダメだったのかも知れません。)

♬救・世・主! ホイッ!
  ♬救・世・主! ヤォッ!

普段の行いがええからや。真面目に生きてて良かったぁ~。

「お~い! お~い!」

「何ですか~?」

「助けてくださ~い!」

「ナンパですか~? いやで~す」

「ちゃう!ちゃう!ナンパちゃう!」

「いやで〜す」

「クラゲで帰れんのや~」

「大丈夫ですよ~」

「大丈夫なわけあるか~」

「ナンパですよね~。ブチャイクなのでイヤで~す。あはははは~っ」

「はっきり言うな!」

「あはははは〜っ」

…… んなアホな……


彼女たちは私たちを見捨てて行ってしまいました。

「あほ~っ!!! ブス~っ!!!」

結局、私たちは刺されること覚悟で、手をマンガみたいにグルグルグルグル~ッと回して、爆速クロールで帰りましたとさ。

前年の研二の動きが思わぬ所で役に立ちました。

というお話。

#ハンサムに生まれたかった

みなさま、どうぞ良い夏休みをお過ごしくださいませ。


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