新規事業開発をするなら知っておきたい、代表的な7つのビジネスモデル
こんにちは!本気ファクトリー公式note編集部です。
新規事業において、適切な「ビジネスモデル」を選ぶことは重要な要素です。なぜなら、ビジネスモデルの種類によって、新規事業を成立させる難易度は大きく異なるからです。
ところが、このビジネスモデルの基本の型や難易度を知らずにビジネスを始め、失敗してしまう人も少なくないそうです。
そこで今回は、新規事業開発コンサルタントである当社代表の畠山に、ビジネスモデルの基本の型について解説してもらいました。
初心者は難易度の低いビジネスモデルから挑戦するのがオススメ
ーー初めて新規事業開発に取り組む場合、ビジネスモデルの選び方にポイントはありますか?
畠山:ビジネスモデルには、それぞれ基本の型があり、型によって難易度が異なります。初めて新規事業開発に取り組むのであれば、難易度が比較的低いと言われているビジネスモデルから挑戦するのがいいでしょう。
なぜなら、事業開発に限った話ではありませんが、最初から難易度の高いものにチャレンジすると失敗する確率が極めて高くなるからです。
初めて事業開発をする際には、難易度の低いものから順に取り組むのがいいと思います。そして、事業開発のノウハウを身に着けてから、難易度の高いビジネスモデルにチャレンジすることをおすすめします。
実際、若くして成功した経営者の多くは、学生時代に小さなビジネスを始めることからスタートしています。
今回は、代表的な7つのビジネスモデルをご紹介しながら、その難易度にも触れていきたいと思います。
ちなみに、これからご紹介するビジネスモデルはあくまで「基本形」です。
実際には、「基本形」同士を掛け合わせたビジネスや、変形させたビジネスが多く存在します。
基本のビジネスモデル①小売
畠山:ビジネスモデルの基本形1つ目は、小売モデルです。
売れるものを買ってきて売るのが小売モデルの基本です。顧客の課題を解決する商品やサービスを自社で作らず、仕入れて販売します。商社や卸売業も小売モデルの類型です。
小売モデルで代表的なのはスーパーマーケットや百貨店などです。
自社で作らず仕入れてくるだけなので、事業成立の難易度は低く、初心者でも比較的取り組みやすいのが特徴です。
ただし、小売モデルの場合、販売する商品は他社でも扱えるので、競合優位性をどうつくるかが課題になります。事業規模を拡大するには、販促方法や、流通手段などで差別化できるかどうかがポイントになるでしょう。
基本のビジネスモデル②メーカー
畠山:次には、「メーカー」と呼ばれるビジネスモデルです。
顧客の課題を解決する商品やサービスを作り、そして売るのが「メーカー」です。
多くの製造業がこのビジネスモデルに当てはまります。また、自社で調理している場合に限り、飲食店も「メーカー」だと言えるでしょう。
商品開発の難しさがありますが、他社と差別化できる商品がつくれればビジネスをスケールさせることができます。
また、サービスをつくって提供するのもメーカーモデルです。例えば、美容院やマッサージ、病院などがその例です。
基本のビジネスモデル③広告
畠山:次は、「広告」モデルです。
このビジネスモデルを使ったビジネスは主にテレビ、雑誌、新聞、ウェブ媒体などのメディアです。いくつかパターンはありますが、主に「広告主」と「読者」という2つの顧客がいるビジネスモデルになります。
読者がいなければ広告価値がないので、まず読者を集めることからスタートします。
ただし、ただ読者を集めればいいわけでもありません。広告主がターゲットにしたいような読者が集まっていなければ、広告主は広告を出稿しようと思いませんし、単価も低くなってしまいます。
そのため、「広告主が出稿したがるような読者を集められるテーマ」でのメディアづくりが必要になります。
このビジネスモデルは収益化まで時間がかかりますので、事業難易度は比較的高めです。
基本のビジネスモデル④消耗品
畠山:次は、「消耗品」モデルです。
このモデルを初めて成立させたのは、髭剃りメーカーの「ジレット」だと言われています。
本体と刃が一体になっている髭剃りが売られていた時代に、刃だけを取り替えられる仕組みにしました。本体を安く売り、替刃を何度も買ってもらうことで利益を出すモデルです。
日本だと、コピー機の方が有名かもしれませんね。
コピー機の本体を安く売って、消耗品であるトナーで利益を出すモデルです。
「本体を買ってもらえば、それに対応する消耗品は少々割高でも買わざるを得ない」という点がポイントです。
消耗品モデルでは、リピート購入してもらうことが大前提です。継続利用してもらい、さらに代替品を販売する業者との競争に勝つ必要があるため、難易度は比較的高いと言えるでしょう。
基本のビジネスモデル⑤サブスク(サブスクリプション)
畠山:次は「サブスクリプション、通称サブスク」です。
継続課金のサービスで、一般的には月額制でサービスを提供するモデルですね。初期費用が高い商品を、サブスク化することで購入しやすくするケースが多いです。
また、ネットフリックスやアップルミュージックなど、動画サービスや音楽配信サービスでは、契約期間中はサービスが利用し放題になるのが一般的になっています。
一見、収益性が高そうな印象ですが、サブスクは、継続してもらわないと全く儲からないビジネスモデルです。
当然ですが、サービス品質が悪ければユーザーはすぐに解約します。そのため、売上が上がっているように見えても、実はLTV(ライフタイムバリュー・生涯顧客価値)が驚くほど低かった」、といったケースも起こり得ます。解約せずに、サービスを使い続けてもらうには、施策を講じる必要があります。
サブスクリプションは、成功すれば収益性が高い事業です。ただし、ある程度の投資が必要なので、難易度は低いとは言えません。
基本のビジネスモデル⑥マッチング
畠山:次は「マッチング」です。
ニーズがある人同士を結びつけるのがマッチングで、ポータルサイトやプラットフォーム上でマッチングしたら手数料が発生するモデルです。
このビジネスモデルは
顧客課題が互いに互いの課題を解決できる組み合わせである
双方の顧客をマッチングするに十分な数を集められる
効率的に「解決できる顧客同士」を見つけられる
という3つの要素を満たす必要があり、成立させるための難易度は非常に高いです。
そして成立の難易度が高いからこそ、一度成立してしまえば、他社が真似することは難しい。つまり「競合優位性が高い」ということになるので、非常に高い事業価値を狙えるビジネスモデルです。
基本のビジネスモデル⑦フリーミアム
畠山:最後は、「フリーミアム」です。
このビジネスモデルはevernoteやDropboxが採用したことで一般に知られるようになりました。最初は無料で提供し、それ以上の機能を使う場合に課金するモデルです。Webサービスでよく見る「プレミアム会員」「Pro版へのアップグレード」などがそれに当たります。
日本では一時期大きな市場を作った「ソーシャルゲーム」もこの類型に入ります。
このビジネスモデルも、難易度は高いです。
「どこから有料にするのか」「どのように有料に誘導するのか」など、高度なサービス設計が必要になるからです。
以上が、7つの基本的なビジネスモデルになります。
ビジネスモデルを考える際には、その難易度も考慮にいれて取り組まれると良いかと思います。
どのビジネスモデルにも欠かせない、事業の成長に必要な要素
ーーここまで代表的なビジネスモデルとその難易度を解説していただきましたが、どのビジネスモデルにも共通する大切なことはありますか?
畠山:どのビジネスモデルを選んだとしても、新規事業を成長させていくためには、新規事業に必要な要素とその関係性について正しく理解することが大切です。
事業を構成する要素は等しく重要で、どれが欠けても事業は成長しません。
新規事業開発に必要な要素と関係性については、田所雅之さんの『起業大全』(2020年、ダイヤモンド社)で紹介されている「Startup Balance Score Card」という図が大変分かりやすいです。
新規事業が成立するには、上記の図にある要素全てが一定程度以上のレベルで有機的に機能している必要があります。
これらのバランスが悪かったり、どれかの要素が機能していなかったりすると、事業は機能不全に陥ってしまう可能性が高くなります。
ーービジネスモデルごとに、陥りやすいケースなどは異なるのでしょうか?
畠山:そうですね。
たとえば「代理店系営業会社」は、マーケティングや顧客に対面で営業するフィールドセールスが強く、カスタマーサクセスや知財は弱い傾向にあります。
こういった要素を強く持つ事業体がメーカービジネスを始めると、「売上はかなり上げているのに、儲からない」、いわゆる「売りっぱなし」の状態に陥り、事業がスケールしないことがあります。
このような代理店系営業会社の「強み」は、マーケティングやフィールドセールスといった競合性の高い市場で生き抜くための要素です。
一方「弱み」は、強いプロダクトを扱ってきたことによって、そもそものマーケットの選択や、導入後にプロダクトを強化していく要素が弱いことでしょう。
「売りっぱなし」の状態に陥ってしまうのは、この「強み」と「弱み」が露呈した状況といえます。
ーー自分たちの「強み」と「弱み」を把握した上で、重要な要素を強化していくことが大切そうですね。
畠山:はい。「強み」といえば、これは大企業のほうが圧倒的に有利な部分ですが、ファイナンスや法律、知財などバックオフィス系の業務は、本体の知見、人材を活用することでかなりの部分を補うことができます。
事業が成長してくれば、大企業はこういった人的、知識的バックアップを受けやすくなりますから、積極的に活用するのが良いと思います。
いずれにせよ、「すべてに強い会社」はないので、新規事業を行う場合はその事業に必要な要素を強化する必要があります。
事業によって、特に重要な要素も変わってきます。今回ご紹介した「Startup Balance Score Card」のようなマップを参考にしながら、これから取り組む事業の要がどこになるのか、事業開発の早い段階で気づいておくことが必要です。
畠山Facebook :https://www.facebook.com/kazuya.hatakeyama
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