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中国を旅する(3) 上海のコミュニティ食堂、武漢の従姉
Vol 32 中国旅行
上海には2日間の滞在予定。 私たちにとって、上海は帰国のたびのトランジット・シティです。市内観光にはあまり興味がなく、どこかでぶらぶらするのを迷っていたところ、上海によくプチ滞在している武漢の幼馴染が上海のコミュニティ食堂を勧めてくれました。
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地域住民のためのコミュニティ食堂
「コミュニティ食堂」とは、都市コミュニティサービスの機能向上と充実を目指し、中国で行政の主導に推進させている事業です。上海のコミュニティ食堂事業は全国でも最先端を走っていると聞き、ネットでコミュニティ食堂の模範モデルと言われる静安区にあるコミュニティ食堂「吾家食坊」でランチを体験することにしました。
コミュニティ食堂は、まず第一に地域の高齢者の便宜を図り、サービスを提供することを目的としていますが、食堂のある地域の住民や近隣で働く人も利用することができ、利用者の中には私たちのような観光客もいます。
期待に胸を膨らませてこの食堂に辿り着き、昼の開店時間の30分前でした。忙しそうなスタッフとは別に、店内にはすでに数人のお年寄りが待っていました。
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食堂の面積は400平方メートルで、110人が座れるホールと快適なテーブルと椅子がカラーコーディネートされ、食事を楽しめる空間となっています。
80種類以上の料理には、季節の新鮮野菜や小皿の肉野菜炒め、スープ類などが10元RMB以下、「松鼠鲈鱼,糖醋小排、酱鸭腿、腐乳肉」など20元前後の主菜料理、そしてご飯、ワンタン、麺、肉まん、饅頭などの主食があります。
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各料理の価格表には、その栄養成分とカロリーも明記されています。低糖質は緑色、高糖質は赤色の文字で糖質別に分類して表示されているため、利用者は気軽な嗜好から健康・栄養管理まで考慮したメニューを選びやすくなっています。
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多種多様な料理や主食、幅広い調理技術により、伝統的な食堂の家庭の食卓のようなおかずと、フォーマルなレストランのようなバラエティに富んだ料理を、市販のレストランの半額以下の価格で提供しています。
このように、コミュニティ食堂は、あらゆる年齢層や異なる経済状況の地域住民に便利を図るサービス施設です。
毎日食べても重複しないメニュー
午前11時からの最初の30分間はシニア優先の時間帯で、60歳以上の住民は88%の割引価格で利用できます。夫婦で食事に来る人もいれば、食器を持参しておかずとごはんを持ち帰る人もいます。また、料理を少し多めに買って、半分食べて半分を夕食に足す利用方法もあります。
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朝食は28品(計64種)、作りたてのスープ麺は14品、ランチとディナーは40品以上(計93種)、ペストリーは17品(計21種)あり、1日に1000人以上の客が訪れるそうです。
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安くておいしそうな料理がならべられ、食べたいものがたくさんありすぎて、どの皿にするかを私たちが迷いました。携帯で会計を済ませた後、私たちはささやかな興奮で、魚と肉、野菜と豆類を組み合わせたランチを味わい、感無量でした。
「味もいいし、安すぎる」「これだけ種類があれば、半月は毎日の料理が重複しない。自炊だと種類も少ないし、調理の腕も負けるし、コストも食堂より安くない」と私たち夫婦がうらやましがっていました。
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食堂での食事は高齢者の外出を促し、食堂では他の人とのコミュニケーションや1日のリズムの変化を感じることもできます。最大の利便性は、1日3食の心配をしなくていいことです。
きっと、ここの利用者も私たちと同じようなことを感じると思います。彼らの顔から満足感と安心感が見えるからです。都市の高齢者は退職金を得ながら、自分で買った住宅で暮らしています。食堂で食事をすることは経済的な負担にならず、快適な毎日を過ごせるように思われます。
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地域食堂はすべての高齢者に行き届くのか?
百度(ネット辞書)より:コミュニティ食堂
「コミュニティ食堂とは、高齢者、障害者、子ども、その他の社会的に恵まれない人々に食事がでるように、食事の安全を提供するだけでなく、人々の毎日の食事のニーズも満たす。栄養価が高く衛生的で、コスパが高く、一般人もに開放され、社会的属性を備えた公福祉食堂である。」
「政府部門は、コミュニティ食堂の建設において主導的な力を発揮する。 社会化されたレストランと比較して、コミュニティ食堂は公共の福祉的性格が強い。 そのため、政府部門、地域社会、その他の行政機関が、運営補助金の交付、家賃の減免、運営スペースの無償提供などの政策的・財政的支援を行う必要がある。」
「草の根のガバナンスと建設には社会的な力が不可欠であり、コミュニティ食堂の建設にも社会的な力の結集が必要である。 社会貢献に積極的な企業、思いありの個人、慈善団体、地域住民、その他の社会的力が、寄付、献金、ボランティアという形でコミュニティ食堂の建設に参加することを奨励することで、高齢者サービスの提供レベルが向上させる。」
「吾家食坊」の最初の建設と日々の運営は、地域行政によるサポート的な政策と資金提供、そして社会貢献に積極的な企業、善意的な個人、慈善団体、地域住民のボランティアなどの参加によって全面的に支えられてきたと思われます。
「吾家食坊」は確かに、自力で食堂に行く住民に便利さを提供していますが、病気や体の不自由で外出できない人たちの食事の問題もその食堂の恩恵を受け、解決できているのかと勝手に心配している私です。
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見たものや、食べたものの写真を携帯で親戚に送りました。
静安区の隣の普陀区に住んでいいます上海の親戚は、「我が住宅地に食堂もありますが、規模も種類も料理の質も『吾家食坊』には及ばない」といいます。
他都市の親戚はうらやましがり、自分の住んでいる地域にも「吾家食坊」のような食堂があればいいのにと願っていました。
「都市コミュニティサービスの機能向上と健全化」というのが、全国の都市部と農村部のすべてのコミュニティに普及し、実施プロセスで決められたサービスの対象範囲とサービスの細かさにかかっているでしょう。
武漢にいる従姉
その後、私は実家のある武漢に行き、久しぶりに80歳を超えた従姉を訪ねました。 従姉は1960年代に大学医学部を卒業し、ずっと武漢で医療に携わってきました。 彼女はある大学の教員宿舎に住んでいます。
大学教授だった従姉の夫は数年前に病気で他界し、一人息子一家が遠く離れたところに住んでいるため、従姉は30年以上前に建てられたこの住宅地で一人暮らしをしています。
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足首の靭帯の老化による歩行痛(治らない)のため、彼女は一日中一階の自宅にいることしかできません。買い物や掃除、料理などを週2回のパートタイムの手伝さんがしてくれますが、自由に歩けない従姉は悲しそうな顔で話してくれました。
「車いすはあるけれど、外までの階段の段差があるため、昇り降りできなく、家の中では一日中、だれにも会えず、話す人もいません。今日がどう過ぎていくかしか考えず、未来のことが考えられないのです。 私は自分自身をとても哀れに思います。
日本では、従姉のような場合、段差解消、手すり設置、ドアの改修、間取り変更など住まいのバリアフリー化にすれば、車椅子で普通の人と同じように暮らしを快適にします。 自治体からリホーム費用の補助金も出してくれますし、工事の関係者も紹介してくれたりします。
この福祉のことは、地域を特定するものではなく、申請者の地位や収入とは無関係であり、だれもが役所へ相談し、具体的な援助を受けることができるのです。
それは、日本が介護保険制度があり、高齢になって必要なときに公平な援助を受けられるように、生活の質と生きる尊厳を法律で保障しているからです。
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私は、日本の山間僻地で一人暮らしをしている高齢者が受けている介護サービスについて取材したことがあります。また、寝たきりの高齢者が24時間体制で地域の介護ケアを受けている様子も紹介しました。(中国語記事は下記のURL)
もし中国にこのような介護保険があれば、その時の従姉の表情は幸せで穏やかだったでしょう。
「室内を段差のない、車椅子で移動しやすい空間に改造すれば、車椅子に座ったまま寝室、居間、台所、洗面所、浴室を簡単に行き来でき、基本的に一人暮らしができる」と私は日本の高齢者福祉について紹介しました。私の話を聞いた従姉妹の目が光り、そして暗くなった。費用の心配はないはずですが、このような環境整備は彼女にとっては遠い夢物語のようです。
かつて医療分野で生涯を懸命に働いた医者が、老いてみると、幸福感どころか最低限の生活の質もないような悲しい状態になっています。
従姉の家から出てくるとき、私は外の道路を注意して見ました。段差やでこぼこの状態で、従姉がとても車椅子での外出が難しいことがわかります。
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従姉が生きている間に武漢の「都市コミュニティサービスの機能向上と健全化」が確立されるでしょか。彼女の住む住宅地や家の中が便利になり、介護の恩恵を受けられる日はとても遠いように思います。
中国語バージョン
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