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......の中国旅行(2)IDカードと携帯電話による優越感

Vol 31  中国旅行

今年の9月下旬、私は親戚訪問で4年ぶりに中国へ帰国し、事前の計画もなく、目的地もはっきりしない行き当たりばったりの旅に出ました。 その道中で経験したこと、感じたことを紹介します。

以前から、帰国時に遭遇した最大の不便は、中国国民のIDカードを持っていないことです。ホテルの宿泊が制限される問題と、支払いできる携帯電話(中国の銀行口座と紐づけ)を持っていないことの不便さがありました。

発展の恩恵を享受できない外国人

中国の急速な経済発展は、国民の生活の質を大幅に向上させ、社会サービスを充実させてきました。誰もがスマホンを持ち、あらゆることがオンラインで解決され、"今はとても便利だ!"というのは私が中国の友人や親戚からよく聞く感心の言葉でした。

しかし、中国に帰る際、これらの便利さこそは私たちにとっての不便と当惑を感じた原因でした。

1)ホテルの宿泊に拒否され:
空港を出て、事前に予約していたホテルに到着し、チェックインしたところ、受付でパスポートを一瞥され、「こちらは外国人のお客様が利用できない」と言われ、即座に宿泊のところがなくなりました。

すでに暗くなった外、重いスーツケース、国内携帯電話も持たず誰ども連絡できない状態。どこに泊まる? どうやって行く? 誰に電話する? (今は帰国前に中国用のSimカードを買っておけば、飛行機を降りたらWeChatで外部に連絡できる)。

幸い、いつも現地の親戚や友人に助けられました。

2)航空券や高速鉄道のチケットの購入不能
決済できる携帯電話を持っていないため、ネット予約できず、チケットを窓口で買うしかないそうです。実は、何十年の間、私はいつも中国の友人や親戚に頼んで済ませることをしてきました。

3)おつりは自分で集金
支払いができるケータイがなく、小銭がない場合はバスに乗ると困りました。バスの運転手は乗客の支払いを監督するだけで、おつりや両替は行いません。

大金でおつりが必要な時、運転手は乗客に「乗車位置に立ち、おつりが足りるまで他の客からお金を集めよう」と指示します。

当初、地元の人々は交通カードを使用していましたが、その後、ケータイを使用する乗客が増え、現金で支払う乗客はごくわずかです。乗客の手から投入しようとするお金を横取りすることは乗客を驚かせてしまいます。この作業には、素早い目と素早い手、恥ずかしがらずにお金を横取るという勇気も必要でした。

ちなみに、日本のバスには運賃受け取る機に自動両替機も付いており、大きな額面の両替は運転手が対応しますが、小さな額面の紙幣から硬貨への両替、大きな硬貨から小さな硬貨への両替は、バスに乗ってから、客自身が操作するので、お釣りがなくて戸惑うことはありません。

同じような当惑はバスの中だけでの経験ではありませんでした。中国に誰もがIDカードを持っているので、このような経験がなく、我々が母国に帰るのをためらうことは想像できないでしょう。

中国国内の人々にとって便利になればなるほど、海外から来た人々にとっては難しくなります。これは、中国で新しいサービス・システムを構築する際、設計者が、外国人も顧客であり、その中には携帯電話や交通カード、硬貨を持っていない人がいるなど、時に発生する問題に十分配慮していなかったためかもしれません。

中国社会は常に大胆で速いスピードで発展してきたため、開発・革新の段階でこうした問題を考える余裕を持たず、気づかれないことはよくありました。

ホテルの宿泊は自由ではない

帰国前、私は、夫と双方の実家の親戚や友人に「外国人客が泊まれる」ホテルや民宿の手配を頼みました。彼らのだれもは、大した問題だとは思っていませんでした。

家の近くのホテルに確認に行ったところ、確かに多くのホテルでは国民のIDを持たない宿泊客は受け入れていないといわれました。
そこで、「国内IDで予約し、他人名義でチェックインする」と提案されました。

しかし、私の知る限り、フロントはIDカードを確認しますし、宿泊客の身元を公安部門に報告しなければならず、抜き打ち検査でうその登録がバレたら、罰金されます。
ホテル側はルール違反のリスクを負わないでしょう。

実際、今回、小さな市や町のホテルも「外国人宿泊客を受け入れない」のルールを緩めず、それほど格式の高くないホテルでも、チェックインの際にはフロントで宿泊客の顔写真を撮り、身分証明書と共に登録していました!
中国における流動人口の管理が昔よりずっと厳しくなっていることを感じました。

私が指摘した問題を聞いた上海の親戚は、家の前のホテルが泊まれないことを確認し、バスで1駅はなれた高級ホテルを探し直しました。ちょうどアジア競技大会の開催期間中、外国人客を受け入れるホテルを見つけるのはそれほど簡単ではなかったと聞きました。

実は、親戚を訪ねるために中国に帰国する私たちにとって、夜寝る場所さえあればいいのに、ホテルの豪華さや高級なサービスは不必要な贅沢になり、私たちの身分は常に親戚の接待費用をはるかに高くしているのです。

スーペリアルームには着替えを干す場所がないことが多く、宿泊客がクリーニングサービスを利用すると想定されているからです。私たちはしばらく中国に滞在する予定で、一般人としての生活をしたいため、 毎日洗濯が第一の関心事です。

一般てきに、民宿は家庭生活用に構成されており、ホテルよりも広々としていて、洗濯機もあり、しかも安い。それ以来、他の都市旅行する際、外国人客を受け入れてくれる民宿をさがし、民宿施設は私たちの宿泊の第一候補になったのです。

民宿については後ほど特集で紹介予定です。

携帯電話で支払う方法を学ぶ

中国に帰国する前に、ネットの情報に従って、外国人専用のWeChat Payment APP(携帯がクレジットカードに結び、外貨決済)をダウンロードしました。外国人用のAPPは、国内のWeChat Payのすべての機能を備えているわけではない(携帯同士の送金はできない)と聞きましたが、オンライン決済に対応しており、私たちにとっては十分と思いました。

ダウンロードしたアプリが使えるかどうかは、日本で確認できなかったので、念のため親戚に頼んで相手の名義のスマホンを用意してもらい、決済は同じ名義の銀行口座を設定しておきました。このスマホンは、私たちが中国で自由に行動するための生命線となりました。

他人の名義を使うこのやり方は正当化できませんが、国内居住者と同じ利便性を享受するために、友人や家族という資源の助けを借りというずる賢さは仕方のない知恵です。

上海の親戚に会って早速WeChatを使って支払いをする方法を習いました。スマホで車の予約、ホテルや民宿のオンライン手配、航空券や高速鉄道(中国の新幹線)のチケットをオンライン注文という方法でした。親戚の若者から、中国で生きていくために必要な基本的なスキルを30分ほど速成授業を受けました。

上海に到着した翌日、私たちは実際に街に出て練習を始めました。練習回数を増やすため、朝食を何軒かの店を回りました。私たち2人が支払いの仕方もわからず携帯電話をいじっているのを見て、辛抱強くいろいろな携帯電話のインターフェイスのタップを教えてくれる店員もいれば、少し嫌な顔をして戸惑う店員もいました。

初めてケータイを使って買ったワンタン

初めてタクシーアプリを使ったときは、ボタンを押すだけで口座のお金が消えてしまうのではないかと少し警戒しました。アプリで内容のチェックを繰り返し、正しいものを選んだかどうか確認しました。一回目タクシーを呼ぶのに30分もかかりました。

車に乗り込むと、運転手が携帯電話の番号の最後の3つを聞いてきました。出発前に運転手と同乗者が秘密の番号を確認する必要があることに気づくまで、私たちはしばらく戸惑っていました。
目的地に着くと、運転手に「お金を払わなくていいんですよね?」と乗り逃げと思われないように確認したのです。

日本では、関連分野や業界の現行システムを守るため、スマホ決済を積極的に推進していなません。携帯でタクシーを呼ぶことは、テレビや新聞で目にするもので、私たちの生活では利用したことがなく、ほとんどの人が現金払いの習慣を維持しており、私たちも慎重な態度でその変化に対応しています。

上海に着くと、私たちは、現金中心の生活から、財布の代わりにスマホを持つ生活に進化せざるを得ませんでした。結局、スマホ決済で落ち着いてお金を使うことができました。同時に日本はこの点で中国に大きく遅れていることを嘆かずにはいられませんでした。

私が中国へ行く前に、何人かの日本人の友人たちは、彼らが中国に旅行できるように、彼らの理解と参考のために、すべてのプロセスを詳細に記録するよう私に頼みました。しかし、私のこうした対応策は、外国人には参考にならず、応用が難しいと思います。

その後の各観光地では、外国人観光客を見かけませんでした。それどころか、もし故郷の親戚や友人たちの助けがなければ、私たちもどこにも行くことができませんでした。


中国語バージョン



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