沈丁花と香りたつ色気
沈丁花という植物をご存知でしょうか。
私の住む仙台では、今、沈丁花がひっそりと咲き誇っています。
こちらでよく見る沈丁花は白い小さな花が集まっていて、
見た目はひっそりと地味。
見た目でぱっと引きつけるような魅力は、あまり感じられません。
しかし、ふわりと良い香りがただよい、
一度認識すると、沈丁花の香りは、心に残ります。
どこかで嗅いだ匂いをこの時期に感じると
見た目の地味なこの植物を探すのです。
その香りは、不思議と、近づくより少し離れたところの方が強く感じられます。
昼間の明るい日差しの下より、夜の暗闇、視界に意識がむかなくなり
自分の内側に気持ちがむく時の方が、
その存在を香りで知らせてくれるようです。
三大香木に数えられるほど、いい香りの植物なのに、
「沈丁花が好き」
と言う人に出会ったことはありません。
たくさんの人の心を掴むような、わかりやすい魅力ではないのです。
だからと言って、個性が弱いわけでもない。
押しつけがましくなく、存在をじんわりと形作る。
まるで高級な香水をまとった人のように。
いつも行く喫茶店で、ananの『色気のありか』という特集を読んでいました。
「色気」という言葉とは、私は縁のあるタイプではありませんが、
自分の好きなタイプの色気とはどういう種類だろう‥。
例えば、今、目の前にいるマスターのコーヒーを入れている所作は、
静かで美しく、話しても話さなくてもいい関係はとても心地いいものです。
カウンターでの在り方に色気を感じる‥と言ってもいいほど。
ただこの色気は、一般的な色気ではないでしょう。
私が好きなのが、少し押さえた存在の主張なのです。
私はお酒はほとんど飲みませんが、素敵なバーテンダーさんやホステスさんも、このようにこちらの対応に合わせてくれるような、懐の深い心地よさをもっているのかもしれません。
受けとめる力の強い人に、その人の魅力が立ち上がる気がする。
色気といえば、私が好きな壇蜜さんは、色気をまとった方ですが、
壇蜜さんの色気は押し付けがましくなく、包容力が強くて、
内にひめるような吸引力がある。
でも個性や芯の強さをもった方ですよね。
人に押しつけるようなことはない、品が好きです。
自分の好みの色気って、自分の個性は滲み出るけど押しつけない、
引き算のできる在り方なのかもしれません。
沈丁花の香りの存在感と、色気についての考察がリンクして久しぶりにnote書きたくなりました。
トップの画像は、実家の庭に咲いていた沈丁花を少し頂いたもの。
沈丁花はなんと、樹皮や樹液に毒性があるそうですよ。
薬用に使われることもあるとか。
毒性があることを知って、ますますいいなと思ってしまいました。
ちょっとマニアックな趣向かもしれませんね。
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