野球の投手力と失点阻止力という概念

野球で守備力を測る数字は何を指すでしょうか?

おそらくほとんどの人が防御率と答えると思います。私もそう答えます。

結論


今回問題にしたいのは、防御率=投手力だと解釈する事例が多い事です。一般のファンはもちろん解説者や専門誌までその図式で語ります。


セイバーメトリクスではフェアグラウンドに飛んだ打球がアウトかセーフになるかは投手は関与できない。というのが定説となっています。(BABIP。エースクラスの投手でもこの数字は各年バラバラで一貫性がありません。)


右打者のアウトコースに投げて右方向に打たす可能性を上げる事はできるが、その打球がアウトになるかは投手は関与できない。つまり狙ってセカンド正面に打球を飛ばさせるようには出来ないという事です。

この事から投手の純粋な責任であるホームラン、三振、四死球に絞って投手力を測る指標としてFIPがあります。外野フライは一定の確率でホームランになる為外野フライの寡多を加味したxFIPが存在します。


近年ではもう少し進んで、打球の種類で投手力を測るtRAという指標があります。

大まかにいえば三振や内野フライは確実にアウトに出来る優秀な結果。ゴロはアウトに出来る確率が高いがヒットになる可能性もあるのでややマイナスな結果。外野フライはホームランやツーベース、ヒットになる可能性も高いのでかなりマイナスな結果。四死球やホームランはアウトに出来ない最悪の結果として処理されます。


そして、防御率を高めるのは投手力と野手の守備力が必要です。ただ、防御率自体がエラーの失点を除外するようになっているので防御率よりも失点数と置き換えた方が正しいです。

先程の投手は打球がアウトになるか関与できないという定説を発見した人物によると、失点の責任は投手が60%-75%、野手守備力が25%-40%程とされています。(DIPS wikiより)


このことから、防御率(失点率)をみて、「投手力が弱い」というのは間違いで、これを言う解説者はすべからく勉強不足です。

2021年7月横浜denaベイスターズは防御率4.49とリーグワーストですが、投手力はリーグ平均よりやや悪い程度、野手の守備力がUZR、DER共にぶっちぎりのワーストです。


横浜投手陣が三振取れた。ホームラン打たれてない。四球与えてない。とは言いませんが、少なくとも今の数字の責任の多くが野手陣にありそうです。


これでもまだ防御率が悪いのは投手力が低いせいでしょうか?

チーム守備力(投手力×0.7+野手守備力×0.3)が不足しているせいです。

防御率を語る時にこのチーム守備力という言葉を用いたいですが、守備力というのがチーム守備力と野手守備力のどちらかを指すのか不明瞭である為、

チーム守備力を失点阻止力と呼称するのがいいと思います。



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