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【日系企業中国撤退?】の嘘を暴く!

はじめに

中国を支えてきた日系企業とは

コロナで日系企業の中国企業撤退が加速した?

生産ラインが移動したのは医療品

中国投資を続ける外資

門戸を広げつつある中国

結びに

はじめに

アメリカとの貿易戦争以来、中国を取り巻く経済状況については様々なニュースが流れています。
その中でもトランプ政権の対中強硬策を契機に、【中国本土からの日系企業の撤退】について、皆さんも紙面で、見たことがあるのではないでしょうか?

(中国の日系企業が東南アジアや、日本本土へ移動する?)

さて実際の現状はどうなっているのでしょうか?はたして14億の市場と日々変化を遂げる環境から、日系企業は背を向けているのでしょうか?今回も分析と現状をお伝えいたします

(世界第二の経済大国から、日本企業は離れているのか?)

**中国を支えてきた日系企業とは **

【中国での日系企業の立ち位置】と今までの【発展史】を見ていきましょう。1970年代末から始まった中国の【市場開放-改革開放】にあわせて、いち早く日系企業は中国市場へ進出しました。     
併せてODA-政府開発援助でなどの政府支援も合わせると、中国国内の外国投資の過半は日本からです。

(広東省深圳市に70年代から進出した旧三洋。外資企業では最初期の進出企業であった)

当時の日本の進出戦略は【雁行モデル】と呼ばれていました。日本がアジア圏の国の先導に立ち経済の現代化を目指すという戦略です。
亜細亜四龍と呼ばれた、香港-台湾-シンガポール-韓国への進出成功から継続した中国事業であり、中国における日系企業は、労働集約型産業を目指していました。 

同時期のODAを通じて、上海浦東空港や武漢大橋などの生産設備や社会資本も建設されています。返済義務のあるODAの中国への資金流入は、最終的には日系企業への還元を目指していました。

(「日本からのODAは、改革開放で重要な役割を果たしました」-中国政府による公式発表)

上海で身近なローソンはもとより、広州の本田-トヨタ‐日産グループの世界最大の生産拠点など日系企業は中国に根を張ったと言えるでしょう。
19年末までの中国における日本からの投資額は1100億米ドルを超えております。外国資本では、第1位の投資額です。
現在も2万3千社の日系企業が進出しており、外資系企業の約1割を占めています。

(早期から投資を受け入れ続けた広東省などは、外資系企業と香港台湾企業を基にした、イノベーションネットワークが形成されつつある)

コロナ化で日系企業の中国企業撤退が加速した?

中国経済と密接につながる日系企業の中国撤退というニュースは、7月から中国国内でも騒がれ始めてきました。中国現地ニュースではまさしく【青天の霹靂】という状況です。                

日本でも同時期に経済産業省が【海外サプライチェーン多元化政策】は、日系企業の中国から大量撤退という想像を、社会全体に掻き立てたでしょう。
「中国の経済経営状況は困難であり、だからこそ政府が撤退支援政策を出したのだろう」と日中で考えてしまうのも無理はありません。       

(経済産業省による【海外サプライチェーン多元化政策】から抜粋)

中国国内に進出してきた日系企業の多くは中小企業であり、製品群が単一で占められた製造業が中心でした。安定した状況下では順調な経営を続けてきましたが、コロナウィルスによる環境の激変で中国現地での経営モデルが困難になる企業もありました。

(2-4月の間、サプライチェーンが中国国内で遮断された結果、九州日産でも生産が停止された)

生産ラインを移動したのは医療品製造のため

では【海外サプライチェーン多元化政策】を適用した企業数は何社でしょうか?500社‐1000社?答えは8月現在57社です。             

詳しく分析すると17社がアパレルやプラスチック成型、残りの40社が医療物資関係です。医療物資関係企業が支援を適用したのは、中国現地での経営不振ではなく、あくまでコロナ化の日本で不足した医療物資を補うための対策なのです。      

(シャープの日本国内工場でも、マスクの製造がおこなわれた)

そもそも今回の支援政策自体、あくまでサプライチェーンの支援であり、撤退を促すものではありません。
支援政策上、補助金をもらい中国でサプライチェーンを広げることも可能なのです。撤退という言葉は同政策上の趣旨ではありませんし、此の半年間で中国国内のコロナウィルスはほぼ沈静化にあり、4月以降は企業活動も復活しつつあります。

かえって、チャイナ+1で注目されていたASEAN市場はいまだ混乱中であり、日本国内における経済停滞もいまだ継続中です。

(日本政府の支援金を受け取り、中国西部にサプライチェーンを構築することも可能である)

外資による投資が続く中国

もう少し広い範囲で見てみましょう。2020年1月期だけで、中国全土で約3500社の外資系企業が投資案件がありました。投資金額だけでも120億USドルです。ハイテク産業に関しては昨年から3割の投資増で、サービス産業については約45%の増加です。  

(中国政府による、1月期経済報告)

コロナウィルスから回復しつつあった4月単体で見ると、102億USドルの外資投資があり、2019年4月と比較すると11.8%の増加となります。

(2010年以後に進出した近年の日系企業も、その数は変わっていない)

日本も投資額内容は変わっておりますが、中国投資は現在も続いております。19年の1-10月間で34億USドルを中国に投資しており、投資国TOP10に入っているのです。20年1月と19年1月の比較では、日本の中国投資は50%増加しました。

(製造業の進出は減る一方で、2020年‐2019年のサービス業進出増加など高知識‐高付加価値の日系企業進出は続いております)

門戸を広げつつある中国

外資からの投資が続く中国自身も近年変化を遂げております。代表例を挙げますと【金融産業への規制撤廃】です。
従来は金融業においては外資資本比率は50%を超えることが出来ませんでしたが、20年4月から100%の投資が認められました。これによって証券‐保険‐小口金融の外資参入が保証されることになりました。

(バンクオブアメリカ、野村証券も金融開放と同時に、中国への資本強化を進めた)

2000年代までの中国は輸出を中心とする経済でしたが、2020年現在GDPの6割以上は国内消費になりつつあります。外資も時代の変化に合わせた適応進化が求められているのです。

(中国国内の需要にいかに対応できるかが、カギとなる)

結びに

80年代の日本人の収入は中国人の約50倍でしたが、2019年までにはその差は4倍まで縮まっております。今後も差が縮小することは、旺盛な消費意欲と中国国内産業の成長からも明らかです。

(フォーチュン500においても、中国企業の数が2020年から世界一に躍り出た)

加えて、開発及び製品実装の拠点として中国を軽視することはいまだ不可避です。各産業に必要なサプライチェーン、優秀な技術者、整備されつつある国内インフラ、イノベーションマインドを持った人材たち、これは他の国では未だ代替不可能です。

(中国は2019年にとうとう、特許認可数で世界一となった)

時代は変われど日中の協力なくして、私たちの成長はあり得ません!


参考資料および画像元

http://www.mofcom.gov.cn/article/tongjiziliao/v/202005/20200502963665.shtml

http://cjcci.org/cjecolist/

https://finance.sina.com.cn/roll/2020-05-21/doc-iircuyvi4291056.shtml

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