万華鏡

遠くまで来たのは 強くなるためだった
遠くまで行くのは 自分を取り戻すためだと思う

たま  ね ぎの皮、剥きのように
剥いても剥いても
エメラルドな塊 私の奥の方にあるはずで
手に入らない

男の人のように脊椎動物でいて
それでいてかつ
艶やかにエレガントな声が欲しかった
私だけの語りが響く円楼は
いっこうに築かれない

ゆっくりと走って行く雲が 
すべてを呑み込む主役になる山間の地は
体のあらゆる穴から冷風を吹き込んで
凛とやさしい心臓を支配していた

庭のような自由が丘
駅のホームから雑踏をオーケストラにして
ビルの合間に制御された雲

人生が終わった後の頂上星に
もう私は席を持っていて
そこから眺めている 自分の毎日を
だからレゴブロックの喜怒哀楽
青いしんどさ
緑のしんどさ
オレンジの辛さ
ピンクの苦しさ
愛おしんで、安心する

できるまで遠くへいく 私を許すために
遠くまで行ったぶんだけ 
最期の破裂は 鮮やかな万華鏡になる

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