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【シン・柔道整復学 奏論】講義8.mRNAとtRNA

さて、第7回の講義ではmRNAの合成と処理についてお話ししました。

実は生物の進化の過程では、DNAよりもRNAの方が遺伝情報を蓄積する媒体として先に現れたと言われています。

デオキシリボースよりもリボースの方が構造が簡単で生成しやすいからです。

しかし、DNAの方が二重らせんをとっており、かつ塩基にU(ウラシル)でなくT(チミン)が使われていることにより、構造が安定的で修復が効きやすく遺伝情報の永久保存に有利なことからDNAを主体としたシステムが残ったということです。

このように、構造が→性質を決めるというのは非常に面白いですよね。

我々柔整師も、このことは常に臨床で感じています。

例えば、ギプス固定するにしても「この角度で」とか「この範囲だ」、「この厚さで」とかってこだわりますが、これは固定力を調整するためですよね。

こう考えると、はるか昔から必要な考え方っていうのはぜーんぶ同じなんです。

どうでしょうか、面白いですよね?笑

さてさて。

ここまで説明したRNAの合成は全て核の中で行われるものです。

ここからどういう動きがあるのでしょうか。

mRNAをサイトゾルへ運ぶ

前駆体mRNA(プレ-mRNA)がスプライシングされて熟成mRNAになると前回の記事でお話ししました。

プレ-mRNAのトリミングの際にイントロンと言われるカットされる部分や、うまく作られなかった不良なmRNAは役に立たないので、それらのゴミと完成品に分ける必要があります。

簡単に言うと、ゴミはそのまま核内に残し、熟成mRNAは核の外のサイトゾル(細胞質)に運び出すことで区別します。

mRNAの翻訳

生物学の世界で「翻訳(translation)」というと、このmRNAからタンパク質を合成する際に行われるイベントを指しますが、なぜ翻訳と言われるのでしょうか。

辞書で調べてみましょう。

【翻訳】
ある言語で表された文章を他の言語に置き換えて表すこと。

言語を他の言語に置き換えることを翻訳というそうです。

では、今話している分子生物学上の言語とはなんのことでしょうか。

これは、言語「mRNAの塩基配列」→言語「アミノ酸配列」の変換を指しています。

この変換について詳しくみていきましょう。

翻訳の主役はrRNA(ribosomai RNA,リボソームRNA)tRNA(transfer RNA,運搬RNA)です。

このようにmRNA(上図では赤の鎖)にrRNA(上図ではリボソームと記載)がくっついて、そこにアミノ酸を引っ提げたtRNAが寄ってきてポリペプチド(アミノ酸が連なったもの)を作っていきます。

上の図をよく見てみると、リボソームによって塩基が3つずつ読み取られていっているのがわかります。

このように、mRNAの塩基配列を3つで1セットとして読み取ることで、それに対応するtRNAの塩基配列を持ってきます。

tRNAは、この塩基配列に対してはこのアミノ酸、この塩基配列はこのアミノ酸…と、それぞれ対応するアミノ酸がくっついているのです。

そうすることによって、「mRNAの塩基配列」→「アミノ酸配列」に変えることができます。

これを翻訳というのですね。

コドンとコドン表

先ほど言ったように、mRNAの塩基を3つで1つとして読み取っていくのですが、この3文字の塊をコドン(もしくはトリプレット)と言います。

それに対して、mRNAのコドンに対応する塩基を持ってくるtRNAの塩基3つをアンチコドンと言います。

ほねゆきとアンチほねゆきの構図と同じですので、覚えやすいです。

tRNAがアミノ酸を1つずつ引っ提げて持ってくるのですが、「このコドンはこのアミノ酸」と言ったようにmRNAの暗号を解読しているのです。

そして気の遠くなるような研究により、それらはほとんど解析されています。

それがコドン表と呼ばれるようなものです。

上記表はコドンに対応するアミノ酸が書かれているコドン表です。

例えば・・・

  • UUU→Phe(フェニルアラニン)

  • UUA→Leu(ロイシン)

  • UGG→Trp(トリプトファン)

  • UCG→Ser(回外外旋損傷)

となりますので、皆さんも生活の中で「コドン読解してぇー」となった時はこの表を参考にしてみてください。


今日はここまでにしましょう。

↓第9回の講義はこちら


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