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つばめ組

幼稚園の時お店を出して買い物体験をするという行事があった。

本物のお金や商品を使うのではなく、売りたいものを工作して、値段を付けて紙のお札や硬貨で買い物を疑似体験するという知育的な行事。年長さんがお店を出したんだと思うんだけど、お友達とグループになってまず何を売りたいか自分たちで決めてお店を出す。

あるグループはメニューを作って喫茶店を出した。毛糸で作ったスパゲッティやコップにセロファンを入れたジュース。これを出したのはクラスでもメニューをちゃんと書けるしっかりもののカナちゃんたちだった。

男の子グループはゲームセンターを作り、もぐらたたきとか作っていた。

私はというと、そのカナちゃんたちと仲が良かったはずなんだけどなぜか「くすりやさん」を出した。それも一人で。一人だとアレだとおもったのかクラスの男の子が一緒にやってくれた。ヤクルトの瓶に色画用紙を張って液体のみぐすり。ヤクルトの瓶に紙粘土を丸くして入れて錠剤のくすりを並べた。その男の子のことは覚えていないけど少女漫画だったら初恋の相手にしてもいい優しい男の子だ、今考えると。私のこと好きだったのかな。

お客さんが来たのかも覚えていないし、くすりやさんをやろうと思ったのかも、お友達は多少いたはずなのに一人でなぜやろうと思ったのか。

卒園アルバムには、フリルのエプロンをつけたカナちゃんがメニューをお客さんに差し出し、「なににしますか?」というキャプションのついた写真の奥のほうにくすりやさんの看板を掲げ店番している私の姿だけ薄暗く映り込んでいる。


※思い出した、リョウコちゃんじゃなかった、カナちゃんだった(7/7 11:55修正済)


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