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平和ボケを異国で治す?@フォルケホイスコーレ

日本人は平和ボケしていると言われます。私は平和学習、原爆投下の話などの勉強はしましたが、肌身で知っているわけではありません。

一方で、私の祖父は2人とも第二次世界大戦で徴兵されましたが、幸い無事に戻ってきてくれました。私も会うことができましたし、帰ってきてくれたおかげで両親が生まれて、今の私がいます。両親は戦争を知らない世代ですが、日本が貧しかった時代を知っています。私は戦争がギリギリ身近な世代と言えるかもしれません。

さて、とても平和な国デンマークに留学中、平和ボケの私に「戦争」を突きつけられる出来事が3つほどありました。

1つ目
私が在籍した学校は、アウトドアを学ぶコースということで体を鍛えている人が多かったです。コロナの影響で生徒が少なかったからか軍に所属している人や退役軍人の方が多くおられました。生徒募集を軍隊経由でしたのかもしれません。最初にいたのに途中でいなくなって、また最後のパーティーの日に現れた人がいましたが、経験豊富な軍人だから呼び戻されていたそうです。このタームが終わったら軍に戻る、というベテラン軍人さんもおられました。

2つ目
デンマークのことを私にいつもたくさん教えてくれたデンマーク男子が、海軍に行くことになりました。そのために3週間も早めに学校を離れることになったのです。とても残念で、なんでそうなってるの?と関心をもつようになり、デンマークの軍隊について知ることができました。

デンマークは軍隊を保持していること、NATO加盟国なので中東への派兵もありうることなどを知りました。まずは4ヶ月の兵役期間(訓練)があり、その後延長するかどうかは本人の意思で決められるそうです。兵役期間を延長した場合は海外への派兵される可能性があるとのこと。例えばアフガニスタンなど。

良心的兵役拒否が認められていたり、徴兵検査後にくじ引きがあり外れると兵役が免除されるなどの仕組みもあります。様々な要因が重なり、海外派兵までされる人は本人の希望もかなり含まれているようです。危険を伴う分報酬も多いという噂を聞きました。

3つ目
私の隣の部屋に住むデンマーク人男性があるとき「夜中に大音量で音楽を聞いているが、うるさくないか?」と聞いてくれました。私は全く聞こえなかったので大丈夫だと答えたのですが。
実は彼は海外に派兵された経験があり、足を負傷したとのこと。名誉の負傷として表彰も受けたらしいのですが、その怪我の後遺症で数年経っても痛くて眠れない時があるのだそうです。そういう時に大音量で音楽を聞いているのかもしれません。そんな話を、夕食後を食べながら聞かせてもらいました。

直接話を聞いてはいませんが、海外に派兵されてとても辛い思いをした人たちが学校には数人在籍していたようです。フォルケホイスコーレという場所で心と体を休息をしているようにも見えます。彼らはお酒の飲み方が異常に多かったり、授業に出たり出なかったりと日常生活が不安定です。普段は心優しく、楽しい人なのに、あるとき全く部屋から出てこなくなったり。

戦争に行くということは、これほど人間の心と人生を壊してしまうものなんですよね。まだ30代の彼らが、軍以外の仕事に就くことはできるのだろうか?平和そうに見えるデンマークも、国民の誰かが交代で国を守っている。日本だって命をかけて守ってくれている人がいるから、平和でいられるんですよね。

平和そうなデンマークで、平和ボケではいられない現実を突きつけられました。遠い世界の人ではなく、今ここで一緒に生活している家族みたいな人が戦争に行くかもしれない。

1タームごとに集う生徒が入れ替わるので、今回はたまたま軍人が多い時期。私は貴重な経験をさせてもらったのでした。そんな訳で日本人同士でも、戦争について話す貴重な機会が増えました。こういう話を平時に、穏やかにする機会って日本国内で、なかなかないんですよね。必要だし、したいよね!と思う今日この頃です。

#デンマーク #フォルケホイスコーレ #軍隊 #徴兵制 #平和ボケ #海外派兵  

1. そんな!いいんですか!? 嬉しいです!! フォルケホイスコーレ作りのための勉強に使わせていただきます♪