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たのしいはおいしい―きえさんのはなし―

この世には様々なしごとがある。
その中で丁稚が日々「ありがたい…」と日々感謝し尊敬しているおしごと、それが「栄養士」さんである。
栄養士さんはすごい。
栄養士さんは毎日のメニューを考える。そのメニューは栄養的にバランスが完璧で、かつ、食べる人にとって、食べやすいものでなくてはならない。
主婦の裏ワザ前日の残りものをそのまま出す、とか、肉屋さんで特売のコロッケをメインに据えるとかは出来ない。
そんな、超難関縛りプレイに日々挑まれているのが栄養士さんなのである。
凄い、凄すぎる!
なんなら栄養師とお呼びしたいくらいである。

さて、今回登場してくれるのは、4月から保育園で栄養士デビューするきえさん。(デビューするのでたべるばは卒業となってしまったのが悲しい…)
野球少女だったきえさんは、スポーツ栄養学の観点から栄養士の道を志したという頼もしい人物で、インタビュー中何度も「栄養」という言葉が出てきたことが印象的でした。
そんなきえさんとたべるばとの出会いは、インターネット。
もともと子どもの栄養に興味があったというきえさん、大学の友だちが先に子ども食堂でボランティアをしていたことをきっかけに、自分にあうボランティア先を探していたところ、たべるばと出会ってくれたそう。
たべるばの活動拠点である足立区に地縁もあったことから、以降、今日までたべるば調理担当として大活躍することになります。

ところで、皆さん、子ども食堂の調理担当って具体的にはどんなことするのか気になりませんか?気になるよね!
という訳で、たべるばハウス(拠点)での、きえさんの活動スケジュールを伺いました!
14:00 食材調達後、現場到着
→到着後まずはフリーダムの権化と化した台所にその自我を取り戻させる作業を…その後食器の準備やお茶づくり、炊飯、調理の下準備等を他のスタッフと共に行う
16:00 調理スタート
→スープや温めなおせるものを先に調理、あげものなどは食べる直前に作る
17:30 みんなで「いただきます!」

ちなみに、食材発注の都合もあり、メニュー自体はだいたい4日前には決定しているそうで、その為にも日頃から気になったレシピ等はメモしてストックしておく、とのこと。
本当にすごい!

きえさんにたべるばハウスでの「食」について聞いたところ、
「最初は何でもバランスよく食べてもらわないといけないと思っていた。途中で、ここはそういう場所では無いぞ、ということに気づき、それ以降は好き嫌いがあってもそれはそれで良しとしている。ただ、基本的にみんな、なんでも好き嫌いなく食べてくれるし、わたし自身も初めて食べるようなものでも喜んで食べてくれる。先日、ご当地グルメの会をやったときも、みんな喜んで食べてくれてとても嬉しかった」と教えてくれました。
栄養士としてのスキルを活かし、栄養を考えてご飯を作る。その上で子どもたちの好き嫌いを受容するって、かなり心理的にもハードルが高そうなことなのだが、きえさんはそのハードルを軽々と飛び越え、子どもたちと「食べることは楽しい」を実践してくれるのだ。おかんの手抜き飯ながら、日々娘の食べムラに翻弄されている身としては、尊敬しかありません。

そんな尊敬すべき栄養士きえさんにたべるば自己ベストメニューを聞いてみました!
【たべるばハウス部門】
・そばめし
 →作るところからみんなで食べるところまで全部が楽しかったメニュー。
  準備した材料を前に、みんなでワイワイ言いながらホットプレートで焼いて仕上げた。本当に楽しかった!(by.きえさん)
【ギャラクシティ部門】
・鮭フライ
 →普段は調理補助が主な業務のギャラクシティ開催にて、「揚げ」という大役を任せてもらった思い出のメニュー。
これをきっかけに揚げ物に対する苦手意識が無くなり、ハウスでも揚げ物を出せるようになった。とても有難い経験だった。(by.きえさん)

ベストメニューの内容からも、また、コメントからも感じるきえさんの食に対する穏やかであたたかな思い、こんな素敵なご飯を週一で食べられているたべるばキッズが非常に羨ましい!

せっかくなので、理想の保育園栄養士像も聞いてみました。
「食事が楽しい、食事をすることが楽しい、食べ物を知ることが嬉しいと思えるような食事を提供したり、食育活動ができる、そんな保育園栄養士になりたい!」
との力強いことばが!
そして
「そう思うきっかけになったのもたべるばです。」
と言葉を続けてくれました。
「たべるばでは、レシピからの逸脱もOKだった。こっそり多めに野菜をいれたり、きのこを忍ばせたりと色々なチャレンジもしてみた。ある日、アレンジをしすぎて元々のレシピから乖離してしまった時、『子どもたちが食べてくれなかったらどうしよう!』ととても不安になった。その経験から、栄養も大切にしつつ、子どもが楽しく美味しく食べてくれることを目指すようになりました。」

たべるばを
「子どもがたちにとって居心地がいいことはもちろん、スタッフにとっても、みんな明るくて居心地が良い場所」
と表現してくれたきえさん。

そんなきえさんに、最後に恒例のこの質問!
たべるばで自分の誕生会をするなら何がたべたいですか?
「え…ちょっと考えてもいいですか….」

それから数十秒、じっくり考えたきえさんの出した答えは
「ピザにします。ピザをみんなでつくって、みんなで食べたい!」

普段から「みんな」のことを考えてメニューの組み立てをしてくれているきえさん、理想の誕生日会メニューもやはり、「みんな」で楽しく!をメインで考えてくれました。

4月からは新しい環境で大活躍予定のきえさん、たべるば卒業はちょっと寂しいけれど、きえさんの「食事を楽しむ」姿勢は、子どもたちやスタッフの間にしっかりと根付いたことだと思います。卒業しても、またぜひ気軽に顔を見せてね!
そしてまた、みんなで楽しく美味しいご飯をたべましょう♪

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