「本人が一緒にいてくれないと片付けは意味がない」って何度でも言うよ!
先日もテレビで「有名人の汚部屋を片付ける」番組を拝見しました。
これ、パターンが決まっていて。
片付けハンターみたいな人が数人でお伺いし、「こんなもの取っておいてどうするの!」「さっさと捨てなさい!」と、まるで親の仇のようにその部屋のモノをゴミ袋に突っ込んでいきます。
そして半分くらい片付いたところで、なぜか依頼人が「私、仕事があるのでここで失礼します」と言い残して不在になる。その不在の部屋を、更にハンターたちがガンガン捨てて行ってきれいにする。完全にキレイにし終わったところで依頼人が帰宅して「まぁ!なんて素敵なお部屋!」と驚く。…というのが台本のようです。
この手の番組は滅びてほしいと心の底から思っているのです…。
何故かというと、これを見て「業者に金を払えばきれいな空間にしてもらえるんだ」と勘違いされるから。
■本人不在で片づけをするとどうなるか、の実例
先日、「冷蔵庫の中を清掃しつつ、賞味期限の切れた食材を全部捨ててください」と言うご依頼がありました。
そして「全部捨ててくれて構いませんから!私は別の部屋で仕事してるんで、後はよろしく!」と言い残してご本人は去って行きました。
既にこの時点で不安しかありません。
お客様の「全部捨てていい」ほどあてにならない言葉はない上に、真に受けて全部捨てると「何でこれを捨てたんですか!信じられない!」と、クレームになるのです…。
テレビ番組では気持ちいいほどモノを捨てていきますよね。
あれ、全部フィクションですから!!! 信じちゃダメですよ!!!
とにもかくにも、冷蔵庫全部開けて中身をチェックし、中のパーツを外して洗浄し、元通りにセットします。
モノの少ない冷蔵庫でも1時間はかかります。
調味料を中心に、相当な量の賞味期限切れ食材が出てきました。
特に調味料は賞味期限が切れやすいですしね。
最後にそれをお客様にチェックしてもらいます。
(これが私にできる唯一の抵抗です…(苦笑)
その食材をひとつひとつ確認してもらったところ…
なんと7割の食材が「まだ使えるから」「多分傷んでないから」という理由で冷蔵庫に戻ってしまいました。
全部捨てていいって言ったやん…!!!(´;ω;`)ウッ…
■「捨てる」という決断は自分にしかできない
整理収納アドバイザーは「捨てた方がいいですよ」というアドバイスをするだけの人。でも「捨てる人」ではないんですね。
そして、捨てるかどうかの決定権を持つのは唯一、ご依頼者だけなのです。
この場合、我々には「賞味期限が切れているから捨てた方がいいですよ」と提案することはできても、勝手に捨てることはできない。
そしてその決断はご依頼者様しかできない。
その本人が不在のまま片付けをしたところで、結局こうなってしまうんです。そんな現場を幾度も繰り返してきました…。
(※それでも3割は廃棄してスッキリしましたし、冷蔵庫の中も洗浄してきれいになったしお客様は大満足のようだったので目的は達せられたのですが…)
■残念ながら「片付け」は他人には依頼できない
家を片付ける番組が増えてきて、人が片付けに興味を持ってくれるのは大変ありがたいのですが、「他人がちゃちゃっと家の中を片付けてくれる」というのは幻想で、テレビ上のフィクションだということをどうぞ覚えておいていただけると嬉しいです。
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