「全部捨てていいよ」って言うのは簡単だけれど(1)

整理収納業界ではこういう言葉が流行っています。
「生前整理」ならぬ、「老前整理」。

死ぬ前にやる「生前整理」ではなく、
老いる前にやる「老前整理」なのがポイント。

年を取ると、何もできなくなるんですよね。
きつい。体が動かない。体だけでなく頭も動かない。
ついつい何もかもが後回しになる。
※この場合の「老い」とは、「60歳」とか「70歳」とか明確なラインがあるわけではなく、「今より年を取った状態」のこと。

そして出てくる言葉は
「私のものは全部捨ててもらって構わないから」
という、自暴自棄なセリフ。
これ、言われた方はかなり堪えるんですよ……💨

■「捨てる」ってそんなに簡単なことじゃない

本当に一切合切捨てるとして、真面目にシミュレーションしてみましょうか。

まずは、それを請け負ってくれる業者を選定しないといけませんよね。
  →それだけで数日を要します。

その業者が見つかったとして、
  →見積もりを取るのに最低でも数時間
  →荷物の運び出しに数時間(ともすれば数日、数週間!)

後を託された人間は、それに付き合わなければならない。

しかも中には「捨てられない品物」が出てくる。
  →冷蔵庫、テレビなど『家電リサイクル法』にひっかかる品物は基本捨てられません。(引き取ってくれる業者はいるかもしれませんが)
  →個人情報を含むパソコンなどは別途処理が必要。
  →仲良しの〇〇さんから借りたままの本とか、大切にとってある写真類などは…?

■「家族だからこそ見たくなかったもの」も出てくる

さらに「書籍の間にへそくりがあるかもしれない」から全部の本をめくって確認したりする手間も出てきます。本当に捨てるって大変!

さらに、一番いやなのは、「見たくもなかったものが出てくる」ことです。
これはもう何度も書いている(ような気になってるだけでそんなに書いていないかも)ことですが、我が家の場合は死んだ母の遺品のBL本とかですね…いまBLは少しブームになりつつありますけど、ぶっちゃけただのエロ本ですから…!
よく聞くのは、故人がどうやら過去に不倫していた証拠の品々だとか、どこぞの誰かに貢いでいた記録とか。そういうものもザックザク出てきます。
さぁ、ぜひ胸に手を当てて考えてみよう!

■遺品整理にはどれくらいの資金が必要か?

先日も、ご主人様が亡くなったあと、遺品整理をさせてもらうことがあったのですが、奥様が仰いました。
「(私が死んだら)私のものは全部捨てて構わないからね」
※経験から言って、このセリフをおっしゃる方はたいてい片付けのできない人ですね(ニッコリ)

しかも、どうやらその奥様、息子様ご夫婦に遺品整理をお任せするつもり満々でした。
しかしながら、基本的にそういうとき「息子」はあてにならないのです。
なぜかというと、やはり息子さんは仕事をしていて、なかなか実家の母の遺品整理になど足を向けられないからです。
そうなると息子さんのお嫁様がその手配を一切任されるわけで…。
息子様の奥様だって、お仕事なさってたり子育てがあったりするわけですから結局のところ無理。しかもそれが原因で夫婦仲が悪くなるケースも。

こうなったら、もう、お金ですべてを解決するしかなくなるんです。

そのための資金の目安ですが、
3LDKのマンションで50~60万、一戸建てなら100万円前後と言われています。
特に息子様たちが遠方にいらっしゃる場合、
仕事を休む慰謝料+往復運賃(×回数×人数分)+後の処理+その間の飲食その他(そして処分費の実費)…
ゴミ袋だって有料のこのご時世、ごみの処分は本当に大変なんですよ!

そのためにも、
日頃から意識して
無駄なものは持たないようにしてあげてください。
そして、
まだ頭が動く/体が動く今のうちに、
少しずつ「要らないもの」を整理していきましょう。

■「生前整理」と言われても、何していいか分からない人は?

よく言われるのが「片付けろと言われても何から着手していいか分からない」という方。とりあえず、
★家の中の無駄な「紙袋」「ビニール袋」を処分してみてください。
これだけでもずいぶん違ってきます。もし余力があるなら、
★床に置いてあるモノを全部、テーブルや本棚の上に置きましょう。
暮らしやすさがぐっとUPしますよ!

次回、実際にお引き受けしている現場のお話など少々絡めていきたいと思います…(*'ω'*)


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