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人は、便利家電のせいで仕事を奪われてしまうのだろうか?

■「便利家電に仕事を奪われる」と怯える人間たち

以前Twitterで相互フォロワだった方。漫画家のアシスタントをしている絵師さんで、絵もお話作りもめちゃくちゃ上手な方でした。
そんなある日、「自動で背景を描いてくれるソフト」ができたという報に、彼女は「いよいよ我々アシスタントの仕事が奪われて行く…」と悲しんでいらっしゃったのです。
(※漫画を描かない人には意外に思われるかもしれませんが、人物絵が描けても「背景」が描けない人は結構いるのです。そこを補ったり専門にしてくれるアシスタントさんはこれまた多く居らっしゃいます。)

似たようなことが我々清掃業者にも起きました。お掃除ロボの出現です。
スイッチさえ入れれば自動で床の掃除をしてくれる便利な道具。赤の他人を家にあげる必要もなく、予約もせずに気が向いた時に作動できる。当時はまだちょっとお値段高めでしたが、最近では自動掃除機だけでなく、自動で床拭きをしてくれるものまで。
いよいよ清掃業はロボットに仕事を奪われるのか…と思いきや。
意外と家事代行や清掃業は割と順調に右肩上がりのようです。

■掃除ロボが出現するも、意外と好調な家事代行業

こちらの記事によると、家事代行は「年々増大する需要に供給が追いつかない」状態なのだそう。その理由として以下の5つを上げています。

1) 共働き世帯の増加。共働き世帯が片働き世帯を既に上回っている。
2) 高齢者の増加。介護サービスがカバーできないところの補完機能になっている。
3) 単身世帯の増加。2035年には男性29%、女性19%が生涯未婚になると予想されている。
4) 民泊施設の増加。民泊向けの清掃代行サービスの業界受注量が急増している。
5) 社会の意識変化。ライフスタイルの変化にともなって、生活者の意識も変化が見られる

どれも納得の説明ですが、特にこの「5」の理由は大きいと思うのです。
そしてそこに、お掃除ロボが関係しているのでは、と私は思うのです。

■お掃除ロボのおかげで家事代行需要が増えた理由とは?(私見)

お掃除ロボにシェアを奪われると思いきや、その頃から家事代行の需要が増えたような肌感覚があります。(※あくまでも個人の意見ですのでなんの裏付けもありません、ご了承ください)

その理由を私なりにまとめてみました。

(1)お掃除ロボが掃除できる範囲は床だけ。壁やテーブルの上、棚の中などは人がやらなければどうしようもないことに気付く。
(2)水回りなどには自動で掃除してくれるシステムがいまだにない。
(3)お掃除ロボに高価な金額を費やすことに抵抗がない、ということはつまり、「掃除そのものに金を掛けてもいい」と思う人が増えた

掃除ロボの出現が人々に一番変化を与えたのは、「お金を払いさえすれば自分以外の誰かに掃除を頼んでもいいんだ」ということではないでしょうか。
今まで、掃除というのはいやいやながら家の中の誰かが犠牲になってやるしかない苦しい家事でした。これを、お掃除ロボが意識から変えてくれたのです。
そう考えると、便利家電の出現によって仕事を奪われるどころか、家事代行業が右肩上がりなのも頷けます。

さらに言うと、この掃除ロボのお手入れ方法が分からず(もしくは面倒で)家事代行を注文する人もいます。便利家電の「管理」のために家事代行を頼むんですね。
エアコンがいまや家に必須の時代、エアコン清掃業もエアコン修理業も右肩上がりになるのと同じことです。

■どこにでもビジネスチャンスはあるし、相乗効果を狙える

掃除ロボのおかげで部屋の別の個所の汚れが気になる。
掃除ロボのおかげで水回りの清掃をしてほしくなる。
掃除ロボのおかげで掃除ロボ自体の清掃をお願いしたくなる。

自分の仕事を脅かす存在であるはずの掃除ロボが、逆に色んなビジネスチャンスを産んでいることが分かりました。脅威は巧く使えば相乗効果が期待できるんですね。

先述の「背景を自動で描いてくれるソフト」も、面倒で細かい描きこみなどは適度に巧く使いつつ、そこに人間にしか成し得ないアイデアをプラスで盛り込んでいく必要性がある。そこにこそ、生身のアシスタントの力量が問われるのだろうと思います。
例えばその絵師さんの漫画を読んでいたときに、「壁に写真がたくさんかかっている」背景があったんです。
AIの技術が向上すれば、「壁に写真がかかっている背景」くらい、簡単に描き出してくれるようになるでしょう。けど、その絵師さんの描いた世界は、その写真に、キャラクターの成長記録まで描きこんでありました。
その意味するところは何か? そのキャラクターがそれだけ長い年月をその部屋で過ごしてきた、ということです。そういう些細なところに物語を深くするアイデアが盛り込まれていて、それはその絵師さんにしか出せない色だったり世界観だったりするんですよね。おそらくそういうところはAIでは描けないのではないかと。
別の絵師さんだと、棚の上に花が飾られている描写がありました。その次のコマではその花が枯れていたのです。キャラ絵も文字も何もないその2コマで、時間の流れを表わしていました。

でもおそらく壁やら棚やらの細部の装飾を描くにはAIで十分だったりもするのでしょう。効果的に取り入れていけば、自作を描くスピードアップもできますし、連載が進めばそれだけ読んでもらいやすくもなる。
便利家電や便利グッズを使って、相乗効果が狙えます。

便利なものに仕事が奪われてもおかしくない世の中ですが、嘆くだけでなく、それを使って自分はさらに仕事の質を深められないだろうか? と考えていくのも一興だと思います。

あ、ちなみにお掃除ロボはとてもいいですよ(´▽`)
私は持ってないけどお客様宅では良く使います。あれはいい。
歳をとったら我が家にも絶対お迎えします。








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