異例づくめの北京2022パラリンピック閉幕
北京パラリンピックが閉幕してから1カ月ほどたちました。
感動で何度も心が震えるっていうことなんだ、と選手やその仲間たちの活躍を涙なくして見られない日々だったことをこのコラムでも残しておきたいと思って今回のコラムはこれをテーマに。
今回の大会は皆さんもご存じの通り、異例づくめの大会。コロナ禍での開催で観客は中国居住者のみなので私達関係者も誰一人として行けずオンラインで応援するのみ。更にロシアのウクライナ侵攻を受け個人資格で参加予定だったロシア選手とロシアを支援するベラルーシの選手を開幕直前、前日に除外するという事態に。所属選手と特に親交が深かったロシア選手も直前で帰国を余儀なくされたり、試合以外で心が揺さぶられることが多い大会でした。
今回所属選手の広報として携わっていた北京パラですが、嬉しいことに友人たちが私が応援している選手がいるなら、そりゃ見なきゃ!応援しなきゃ!と日本だけでなく台湾までもオンライン上で一緒に応援していてくれたのです。特に台湾の友人たちはみんなすごいすごいと興奮しっぱなしでおかげでずっとLineが鳴りっぱなしで忙しかった(笑)
ほとんどが初めてパラリンピックを観戦した友人ばかりだったのだけど、どんな些細なきっかけでも、パラの世界を知り、興味をもってくれた人が増えたことがとても嬉しかったなあ。みんなありがとう~!
アルペンスキーの試合はパラ開幕の翌日に控えていました。
日本にいるとなかなか状況がわからないので余計にソワソワ。
今回、コロナ禍の影響で選手たちにとってはプレ大会がなく本番直前に現地入りしてから初めて会場のコースを滑走するという、ほぼほぼぶっつけ本番のような状況の中、挑んだ試合でした。
10日間に渡る試合期間、疲労が抜けきれない中での三連戦、北京現地の気温上昇に伴い試合時間や日程も都度変更、毎日変わる雪質とコンディションに悩まされた試合でもありましたが、どの選手たちもギリギリの状況の中、あきらめない想いで、自分が持てる限りの力を最大限に出して挑んだ試合に、何度も何度も心が震える場面がありました。
メダルを獲りたい、頂点目指したいという選手たちの想いはもちろん痛いほどわかります。スポーツは特に勝ち負けが存在する世界ではあるけれど「オリンピックは勝つことよりも参加することに意義がある」という昔の時代に比べ、今はメディア報道も過熱し「メダル至上主義」になっていることにやっぱり少しは違和感を感じてしまう。勝利こそ唯一無二の価値だというある種の刷り込みは「勝ち負け」 の優劣でしか捉えられなくなることにもつながり、勝ち負けも大事かもしれないけど、もっと大事な部分があるんじゃないのかなと。だからなのか、だいたいの日本の選手はメダルを取れなかったことに対してまず謝る習性があって、そんなシーンをみるといつも胸が痛くなります。
無念ではあるけれど、、、なんで謝るんだろう、全然謝ることなんてないのに。。今回なんて特にコロナ禍で色々な大会が中止になったり、十分満足いくトレーニングができなかったり、陽性になるんじゃないか、陽性だったら試合に出れなくなると怯えながら過ごしてきた日々があるだけに、今そこに立ってるってだけで素晴らしいし、あきらめないで夢に向かって果敢に挑戦した、ってそれだけでもう十分素晴らしいんだよ!って心から思います。
今回の北京パラリンピックを通して、たくさんの感動と勇気、そして何よりもあきらめない気持ちを私達に届けて下さった選手の皆さん、本当にありがとうございました。そして、選手たちが無事に試合に臨めるようにサポートをしてくださった関係各所の皆様も本当に本当にありがとうございました。
いつもはANAファンの私だけど今回ばかりはオリパラ仕様のゴールデンJALが愛おしく、選手たちを無事に北京まで送り、そしてまた無事に皆を載せて日本に帰国してくれてありがとう、と色々なことに対して感謝という気持ちが泉のようにあふれでてしまう北京パラでした。
リスペクトしかないです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?