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「李禹煥」展-AI絵画にはない”五感の働きで見る無限感”

李禹煥 リ・ウファン展がとても良かった。
片耳イヤホン持参で行くことをお勧めしたい。

五感を研ぎ澄まされる感じが半端ない。

李禹煥 リ・ウファン氏の表現は「もの派」と呼ばれるそう。
けれど、展示されているのは「もの」ではないと感じた。

岩、ステンレス、プラスチック、キャンバスなどが、白い部屋の中に、ぽん、ぽん、と置かれているのだが、照明の光線にも目がいくほど、「もの」が少ない。

少ない「もの」が絶妙に配置されているから、「もの」そのものの形や質感だけでなく、光線の先にある壁との関係性など「空間」全体に興味が広がり、想像力がかきたてられる。

その「空間」の中で歩みを進めると、時に音が鳴り、空気が動き、景色が変わり、自分自身の気持ちもどこか変化していくのを感じる。

ペイントの筆致や岩にも時の流れを感じるようになる。

「空間」と「もの」との関係性を五感で感じる展示。



ちょうど李禹煥 リ・ウファン展へ行く前日に、画像生成AIサービス「Midjourney」でAIの絵を試したばかりだった。

AIが描いたAI(生成文は’AI’のみ)


AIが描く絵のクオリティは想像以上でびっくりしたのだけど、李禹煥 リ・ウファン氏の絵画にはやはり遠く及ばない。というか全く別物。比べるのも失礼なのですが。

AIの絵には、視覚が刺激されて、新鮮な驚きと少しの恐怖を感じて不安になった。

李禹煥 リ・ウファン氏の作品には、五感が研ぎ澄まされて、太古からの記憶を呼び起こされるような感覚がある。作品も含めた森羅万象に自分がつながっているように感じた。日頃積もりに積もったストレスを忘れて、どこか幸せな気分で展示室を後にした。

普段の私はこういうスピリチュアルな文章を書く人間ではない。
むしろ感情や感想を書くのがとても苦手なのだけど、李禹煥 リ・ウファン氏の作品を経験したら、この文章を書きたくて仕方なくなった。

李禹煥 リ・ウファン展では手持ちのスマートフォンで作品の解説を聞くことができる。

解説の最後の方で、李禹煥 リ・ウファン氏が次のように述べられている。

「AIのように答えを与えられるのではなく身体の五感の働きで見る無限感を経験して欲しいのです。」

まさに、そのような経験をさせていただきました。
そして、また経験しに行きたくなっています。



国立新美術館 企画展 李禹煥 リ・ウファン
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/

スマホの解説も良いので、片耳イヤホン持参で是非。

新国立美術館(六本木)の入り口前に展示されている李禹煥 リ・ウファン作品「関係項ーエスカルゴ」
中に入って作品を体験できます。(エスカルゴの体験は無料)

「関係項ーエスカルゴ」外観


エスカルゴの中


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