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幸せの連鎖

その日は、一粒万倍日と天赦日が重なっていたらしく今年の中でもかなり縁起の良い日らしかった。

夫に連れられて行った神社は何となく見覚えがあった。
大鳥居をくぐり参道を進み、両側にいる狛犬を見ながら私は数年前のことを思い出した。

夫と同じ会社で働いていた頃のこと。この神社に一緒に来たことがあったこと。
あの頃はまだ恋人ではなくて、上司と部下。

「あ、私ここで怒られた」
そんなことまで思い出していた。

上司(夫)に怒られた苦い思い出の残るこの神社に、今こうして夫婦として手を繋いで来るなんて何だかおもしろい。人生、何があるか分からない。


帰りの参道、前を歩く老夫婦がお互いの歩幅に寄り添いながら、手を繋いでいるのを見てなんて素敵なんだろうと思った。

私は「未来の私たちみたいだね」と言って夫の手を握った。
そうなれたら幸せと言う意味で。
それからすれ違っていく別の夫婦達も老夫婦と私たちにつられてだろうか、手を繋いで歩き出す。

幸せの連鎖を生んでいる参道だった。

何気ない日常の中でこそ寄り添いながら生きていきたいなと心から思った一日でした。

「その日、二人で見た綺麗な空」


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