二世帯住宅はあかん。

屋根の色以外、僕の意見を全て無視された結果。義母と妻の概ね理想通りの家は完成した。

土地は義母名義。と言っても義祖父から受け継いだだけのものだが。この名義変更も義母は決して譲らなかった。
建物は僕名義。2,900万円の35年ローン。
月々約78,000円の返済。

新築での二世帯同居といっても、基本的に家の構造は普通の家と一緒。せいぜい1階と2階にそれぞれに洗面所とトイレがあるだけで、あとは義母の部屋に台所があったり、義母の希望で畳スペースがあったり、義母の希望でアレルギー持ちの娘がいるにも関わらず猫が8匹飼われており家中をウロウロして、思う存分に壁や床を引っ掻いて家の価値を下げてくれている。

あとは、料理が嫌いな妻のこだわりのダイニングキッチンやら色々あったが僕は何もかも無視されて出来上がった家の事はもはやどうでも良くて、早々に将来の子ども部屋に引きこもって生活していた。

幸い不規則シフトの介護職。
食事時間は家族とバラバラなので、その頃にはもうハッキリ苦手意識を持っていた義母とも顔を合わせる機会はほとんど無かった。

ただ、やはり義母は強い。同居が始まると色々な事でさらに僕をイラッとさせてくれた。

まずは娘の子育てに頻繁に口を挟んでくる。
そして、お風呂がちょうど義母の部屋の横なので、僕が入浴する時は部屋のドアを閉めていて欲しいとお願いしても閉めてくれない。
さすがに義理の親子とはいえ、全裸を見られるのには抵抗がある為、入浴という日常のリラックスタイムでさえ気を遣った。それにわんぱく盛りの子どもとお風呂に入った後に、子どもは走ってリビングまで出て行くが、僕はとりあえず脱衣所で急いで全身拭いてパンツだけは履いて追いかけるのだが、「あ〜あ〜びしょ濡れやん!ちゃんとパパに拭いてもらえへんかったん?」と外から義母の声が聞こえる。

そして、食事時間は別なのにいつの間にか家族の食器の洗い物は全て僕の役割になっていた。

義母はそれでも僕の陰口を言っていたのは知っている。体調不良で休んでいると「私らの頃は熱なんぼあっても仕事休まれへんかったけどな!」と社会人経験年数3年程度のやつが言ってくる。ちなみに陰では僕の事を「あいつ」と言っていて、娘にも僕の悪口を言っている。

ある時には妻と義母が僕の悪口を言い合っている場面に遭遇した事もあった。

また、友達のいない義母の唯一の理解者の義母の姉が家に訪ねてきた際「どうや?やっぱり孫は可愛いやろ?最高やろ?」と義母に言っていたら「そんなん、私にとったら猫も孫も一緒やわ。」と言ったのも一生忘れない。

そんな孤独な同居生活。職場では役職としての仕事。ストレスが溜まりまくっていた。
仕事が終わっても、家に帰るのが嫌すぎて職場の喫煙所で1時間ぐらいボーッとしていた事は何回もあった。

それでも部屋にこもって筋トレしたり、休みはジムに行ったり、2階で子どもと遊んだりしてなんとかストレス発散していた。
暗黙の了解で、2階には義母は入らないというルールだけは守ってくれていたから、2階だけが僕の聖域だった。

そんな不満だらけの生活の中で、決定的に義母と僕の中が悪くなる出来事が起こってしまった。

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