ギフテッド言説に見る平均思考の弊害

ちょっと前に読んだ。

本書は、平均を排して成功した企業などの事例を紹介し、個性を十分に発揮することで人生で優位に立つヒントを提供する。我々はつい平均を基準に考えてしまうが、歴史的経緯や最新の研究を見れば、そんな「平均思考」がいかに大きな障害となりうるかが分かる。また、「バラツキの原理」、「コンテクストの原理」、「迂回路の原理」を紹介し、個性を生かすことが現代人が生き残る上で必須であると主張する。

本書を読むと、昨今のギフテッドにまつわる言説は平均思考に毒されているのではないかと思う。

例えばこのツイートは真の天才ならばあらゆることに長けていることを前提としている。これは知能の様々な側面に相関があるとする発想だ。行列推理が得意ならば、コミュニケーション能力も高いというように。

同じことを考え、調査した人の話が本書では紹介されている。アメリカの心理学者ジェームズ・キャッテルである。彼は知性は一元的であると考え、その仮説を証明するためにコロンビア大学の新入生を調査した。色を識別する能力や、記憶力など、様々な観点から知能テストを行ったのだ。

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