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歯医者に行くので歯痛の歴史を学ぶ

これから3ヶ月が経った。

次は3ヶ月後で、歯石除去や親知らずを抜くかどうかもそこで判断される。

ついに明日、また歯医者に行くわけだ。こういうタイミングで読みたい本がこれである。

また『〇〇の文化史』である。バウムクーヘンですらあるのだから、歯痛という一般的なテーマの本もあって当然。なにせ歯痛の歴史は長い。本書は原始時代よりはるか昔から話を始める。2億7500万年前、古生代のペルム紀の化石に、細菌が歯周組織に侵入した痕跡があったという。 そのころから歯を持つ生物は歯痛に苦しめられていた。だが、まともな歯科治療を受けられるようになったのはつい最近の話である。本書を読めば歯医者へ行ける幸福を噛みしめられるのではないかと、読み始めたわけだ。

まともではない歯科医とはどんなものか。本書には現在に生きる我々からするととんでもない治療を施す人たちが次々と出てくる。一つ例を挙げるなら、古代ローマから中世にかけてヨーロッパ中を旅して回った「歯抜き屋」が特に酷い。彼らは芸人を引き連れた旅の一座だった。

縁日や市場に到着すると、歯抜き屋はまず芸人を使って人を集め、場を盛り上げる。雰囲気が高まると、いよいよ歯抜き屋の出番だ。彼は自分がいかにすごい技術があるかをとうとうと語る。そして一人患者が現れると、その口から問題の歯をいともたやすく抜き取るのだ。一切の痛みを与えることも無しに。

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