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貧乏性とレターセット

東京暮らしも、もう2年目。
人に手紙を書くことが増えた。それに必要なのは、きれいめレターセットや可愛いグリーティングカード、ポストカード。

自分でデザインとかして作れたらいいけど、あいにくセンスと熱意がない。
オリジナリティを出せない代わりに大切にしているのは、「数多あるデザインの中から、あなたを想って選びました感」と、ちょっとだけ自己主張。

人を想って選ぶようになってわかったことが一つ。
自分が貰った手紙も、そうやって選ばれたものなんだろうな。ってこと。これは幸福度が増す。

以前はレターセットなんて目もくれないし、単純に「非常にコスパ悪いもん」くらいに思っていた。
いや、コスパ悪いのは継続して思っている。
でもそんなアイテムに注目しだすと、今までもらった手紙もこれから出発を控えた手元のレターセットも全部大切なものになる。

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もう一つ、わかったことが。
いいと思ったものはすぐ買うべし、ということ。

東京は特に、すぐ売り切れるし取扱いがなくなる。商品の回転が異常なまでに早い。ちょっと迷って次の週末にしたら、もうない。信じがたいスピード感。みんなそんな手紙書いてる?メールやLINEの時代に?ロマンチックじゃないの。

そんな風に何度も見逃してしまった結果、見つけたら即購入するようになった。特に気に入ったようなやつは2セットとか。

そんなストックたちを眺めていたら、あの子の好きな「クジラ」モチーフのお誕生日用ポストカードがもう3枚くらいある。向こう3年お祝いメッセージを送ることが確定しているわけだ。もはやただの執着では……?

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母のレターセットファイルを思い出す。
ボール紙の、丈夫なファイルにぎっしり入っていた。
端数の便箋、封筒だけ、母が好きな絵本「ふたりはともだち」の一筆箋、私が捨てたのがサルベージされていたり、封緘用のシールもたくさん。

どれもかわいかった。
経年の色あせも多少あったけどそれがノスタルジックな雰囲気を醸していて、いつも未だ見ぬ掘り出し物があるんじゃないかとわくわくした。

わたしもそんなファイルを持ちたいなぁ。と思う。
いろんな人に手紙を書いて、紙のあまりがコレクションになる。コレクションを眺めてわくわくしたあの気持ちを思い出せるなら、ケチケチせんと、レターセットもポストカードも買うたらええやん。と太っ腹な気持ちで今日もストックを眺めているのである。

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