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文春文庫 2020年6月のラインナップを担当者がご紹介します!

<130万部突破の大人気「まんまこと」シリーズ第6弾>
『ひとめぼれ』畠中恵

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妻を亡くした悲しみが癒えつつある町名主の麻之助に、ついに新しい出会いが!
色男の清十郎が親に!? そして堅物の吉五郎が由々しき事態に……。三者三様の人生に、今回も笑ったりしみじみしたり。一つ一つが独立したお話なので、初めての方でも楽しめます。
解説は『百と卍』が大人気の漫画家・紗久楽さわさん。『まんまこと』漫画版を描いたときの楽しさ・苦労したところなど、自身の原点といえるこの作品について熱く語ってくださいました。(担当KK)

<超能力で事件を解決!? あの面々が戻って来た。>
『増山超能力師大戦争』誉田哲也

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日本で超能力が認定されているという設定で描かれ、前作『増山超能力師事務所』では所長の増山圭太郎をはじめ、見た目も能力も凸凹な事務所の面々の活躍を連作で楽しめました。
今回は長編。超能力関連の先進技術者が行方不明となり、その妻から調査を依頼されるところから話が始まります。調べを進めるうちに、やがて所員や増山の家族にまで危険が及び始めて──。
女優の小橋めぐみさんによる解説、上田バロンさんのカバー画にも要注目です。(担当NT)

<新直木賞作家、驚異のデビュー作が遂に文庫化!>
『天地に燦たり』川越宗一

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『熱源』にて第162回直木賞を受賞した著者の、第25回(2018年)松本清張賞受賞のデビュー作です。
戦を厭いながらも、戦のなかでしか生きられない島津の侍大将・大野七郎久高。被差別民の靴職人でありながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年・明鐘。自国を愛し、「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人・真市。豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の風が吹き荒れる東アジアを、三つの視点から克明に綴る本作は、これがデビュー作とはとても思えないほど巧みな構成。物語の魅力に満ちています。島津の侍大将、朝鮮国の白丁、琉球国の官人など、それぞれのキャラクターが作品内にしっかりと息づき、一気読み必至、読了後は、清々しい爽快感が胸に残ること間違いありません。(担当RT)

<凸凹姉妹がシャッター商店街を救う>
『メガネと放蕩娘』山内マリコ

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『ここは退屈迎えに来て』で地方都市に生きる女の子たちのリアルを描いた山内マリコさん。こちらも地方都市が舞台ですが、一味違った愛溢れる“地元系”小説です。
とある地方都市のシャッター商店街にある老舗書店の娘、タカコは市役所で働いていた。代わり映えのしない日々を送っていたが、突然家出したはずの妹ショーコが妊婦姿で帰ってきた!
地元に暮らし続けた「まじめ女子」の姉と渋谷のカリスマ店員だった「破天荒ギャル」の妹。見た目も性格も全く正反対の二人が大学生や商店街の怪しいショップ店員、素敵なおじさまも巻き込んで、いざ街おこし! アラサー姉妹の成長と奮闘を描く社会派エンタメ小説です。(担当AO)

<大人もハンカチ必須の王道青春エンタメ小説!>
『風に恋う』額賀澪

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「静かで美しいくせに、起爆の能力を持つ小説」。
あさのあつこさんの解説の言葉です。青春のすべてを捧げた苦しくも幸せな「部活動」の時間は、大人になった時にどう効いてくるのか。
受験戦争やブラック部活問題を背景に描かれる吹奏楽の物語は、大人の心をもわしづかみにして揺さぶって、力をくれます!(ハンカチを用意して)没頭してください。(なお、本には未掲載の番外編は、こちらで読めます!
(担当YY)

<伊岡瞬はミステリーでなくても上手い>
『祈り』伊岡瞬

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『代償』『悪寒』『痣』といったベストセラーを連発する、注目のミステリー作家・伊岡瞬さん。その伊岡さんがさまざまな作風を試していた2015年に発表したこちらの作品は、文芸評論家の杉江松恋さんが解説で「登場人物の魅力だけで勝負という、ストライクゾーンの真ん真ん中を剛速球で狙っ」たもので、「もっと多くの人に読んでもらいたい」と太鼓判を押す、隠れた名作。読めば「つまり伊岡瞬はミステリーでなくても上手いってことだ」(杉江さん)との言葉通り、作者の幅広い作風と圧倒的な筆力を感じて頂けると思います。もちろん、ミステリー作家らしくそちらの要素もあり、ミステリーファンも楽しめる作品になっています。(担当KN)

<世界の喜劇王はなぜ狙われた?>
『チャップリン暗殺指令』土橋章宏

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映画化され話題となった『超高速!参勤交代』や『引越し大名三千里』の著者による歴史サスペンスです。
「決起は五月中旬と決まった。首相官邸において、今度来日するチャップリンの歓迎会があるらしい。支配階級の者どもも多く集まるだろうから、そこを狙う」昭和7年(1932年)、青年将校たちが中心となり、首相暗殺などクーデターを計画。陸軍士官候補生の純朴な青年、津島新吉は、帝国ホテルに滞在していた喜劇王チャップリンの殺害を命じられ──。チャップリンはなぜ命を狙われたのか? 作歴史長篇をお楽しみください。(担当RT)

<“禁断の純愛小説”がついに文庫化!>
『奈緒と私の楽園』藤田宜永

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1月末に急逝された著者による中編小説は、2016年にオール讀物で短期集
中連載されました。既刊の『恋しい女』が好きだったこともあり、「今回は是非、このような勝負作を」とお願いして執筆いただいたのを思い出します。主人公の男はバツイチ独身で50歳の音楽プロデューサー。別れて今は良き友人となった元妻と、セックスを愉しむ愛人がいたが、ある日、母親の行方を探している29歳の奈緒という女性が訪ねてきてから、彼の運命が変わっていく──。直視したくない真の欲望、年の差を超えた性愛のあり方を描いた問題作です。
解説は軽井沢在住の盟友、村山由佳さんにお願いしました。(担当NT)

<今月の「居眠り磐音」>
『更衣ノ鷹 上 居眠り磐音決定版(三十一)』佐伯泰英
『更衣ノ鷹 下 居眠り磐音決定版(三十二)』佐伯泰英

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人気時代小説、「居眠り磐音」シリーズの決定版は、毎月2冊ずつ刊行中!
今月は、物語が大きく動く『更衣ノ鷹』上・下(第31巻、第32巻)です。
田沼一派の矛先が、いよいよ将軍家世嗣・家基へとあからさまに向けられます。激しい闘いの果てに、家基、そして磐音を待ち受ける運命とは!?
シリーズ屈指の緊迫した展開にご期待ください。(担当TS)

<国家権力に真っ向勝負を挑んだ男の勇気と覚悟>
『不撓不屈』高杉良

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経営基盤の脆弱な中小企業を支援するため、税理士・飯塚毅は「別段賞与」という会計処理の方法を考案します。「脱税幇助だ」と、これに激怒した国税当局は、「飯塚をやっちまえ!」とばかりに、顧客への執拗な税務調査や飯塚の部下の逮捕など未曾有の弾圧に乗り出します。飯塚は、なぜ七年にも及ぶ裁判を闘い抜けたのか──。
三権分立や文書記録が危機に瀕しているいまだからこそ読みたい、巨大な国家権力と闘った男の揺るがぬ覚悟と信念を描いた実名経済小説です。(担当TS)

<脳科学に基づくメソッドが、家庭ですぐにできる!>
『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして』相良敦子・田中昌子

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「早く片づけなさい!」「まだやってないの?」ひっきりなしに、子どもに指示を出していませんか?
モンテッソーリ教育は、あの将棋の藤井聡太さんを育てた教育法ということで注目されましたが、いつでも、どこでも、誰にでも、すぐに実践できる教育法です。
本書は、相良敦子さんのロングセラー『お母さんの「敏感期」』、『お母さんの「発見」』に続くシリーズ決定版。実際のモンテッソーリ園でどのように教育が行われているかを撮影したカラーグラビアや、相良敦子さん生前最後の講演録、最新事情の書き下ろしなど大幅に追加し、見て楽しく読んでためになる新しい1冊に生まれ変わりました!
先輩ママの実践レポートを多数収録しているので、具体的にどのように子どもに接すれば良いか、ヒントが満載です。子育てで大変なお母さんお父さん、この本を読んだら、目からウロコのことばかり。子育ては楽しんでまいりましょう!(担当CI)

<小野不由美さん感嘆。
「恐怖の帝王」の原点となる名作、復活。>
『呪われた町 上』スティーヴン・キング 永井淳訳
『呪われた町 下』スティーヴン・キング 永井淳訳

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ホラー小説の巨匠スティーヴン・キングは、いま何度目かの黄金時代を迎えています。大ヒットとなった代表作『IT』の映画化をはじめ、次々に作品が映像化され、キングにオマージュをささげるNetflixのドラマ『ストレン
ジャー・シングス』は欧米で社会現象にまでなりました。その秘密は、昔ながらの恐怖の物語をなじみ深い舞台に移し、それを現代的なストーリーテリングで見せたところにあります。だから世界中のどんなひとにも共感することができ、恐怖することのできるモダン・ホラーを生み出せたのです。
そんなスティーヴン・キング式ホラー・エンタテインメントの原点となるのが、1975年に発表した第2長編『呪われた町』。キングお得意の田舎町を舞台に、穏やかな町の日常のなかに徐々に怪事件をまぎれこませてゆき、最後には恐るべきものが姿をあらわす──伝統的な吸血鬼物語を現代によみがえらせた伝説の名作です。『十二国記』の小野不由美さんも賛辞を惜しまない傑作であり、これ以降に発表された吸血鬼小説すべてに影響を与えたといっても過言ではありません。いま読んでもまったく古びていない巨匠の原点、新たな装いで文春文庫初登場です。(担当SN)

<終戦秘話と昭和天皇の貴重な素顔>
『昭和天皇の横顔』佐野恵作 梶田明宏 編

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梅雨が明ければまた8月15日がやってきますが、昭和20年8月14日「終戦の詔書」を浄書した宮内官が昭和28年に出版した「幻の書」が初文庫化で
す。
著者の佐野恵作は、決してエリート官僚というわけではなく、苦学して宮内省に入省、主に総務畑を歩んだたたき上げの宮内官です。
その彼に回って来たのが、昭和天皇が玉音放送に使う終戦の詔書を浄書するという大役。その夜、半藤一利さん『日本のいちばん長い日』でも有名な、終戦に反対する将校たちによる“反乱”が起こり、皇居は混乱に陥ります。佐野はその夜のことを精彩に富んだ筆致で回想しています。
後半では、戦後の昭和天皇の暮らしぶりが親しみやすい書き方で紹介されています。本書を発掘し、詳細な解説を書かれた梶田明宏氏は、元宮内庁職員で、現在昭和天皇記念館の副館長です。(担当MF)

◆映像化情報◆「ドラマスペシャル 堂場瞬一サスペンス ラストライン 刑事 岩倉剛」

テレビ東京系にてスペシャルドラマ化放送日が6月29日(月)20時~22時08分に決定!

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堂場さんの人気警察小説がドラマになります。行く先々で“事件を呼ぶ”ベテラン刑事、主人公の岩倉剛を村上弘明さんが、相棒で元交番勤務の後輩女性刑事、伊東彩香を志田未来さんが演じます。お楽しみに!

◆映像化情報◆映画『キネマの神様』(来年公開予定)、急逝された志村けんさんの代役が決定!

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新型コロナウィルスによる肺炎で、3月に亡くなった志村けんさんに代わり、映画『キネマの神様』(監督・山田洋次)の主役ゴウを志村さんと親交の深かった歌手の沢田研二さんが務めることが先日発表されました!!
松竹映画の創立百周年を記念して製作される本作は、原田マハさん原作の長編小説『キネマの神様』(文春文庫)が原作です。
主人公のゴウは、ギャンブルに熱中するダメおやじですが、映画をこよなく愛する男で、本作はゴウとその家族の物語を描いた、涙と笑いの感動作です。
「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」とコメントを発表された沢田さんですが、いったいどんなゴウを演じられるのでしょうか?来年の映画公開が待ちきれないですね。ぜひお楽しみに!

◆映像化情報◆ドラマ「路」ロスの人、ぜひ原作(吉田修一『路(ルウ)』)を!

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5月31日で最終回を迎えたNHK土曜ドラマ「路~台湾エクスプレス」。こ
の時期に貴重な新作ドラマで、視聴率もよかったようです。原作は文春文庫から刊行されている同名の吉田修一さんの小説です。全3回がもったいないような素晴らしいドラマでしたが、原作でじっくり「路」の世界を楽しんでください。



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