究極の選択(2005年06月15日)
2005年06月15日 記
そうそう。昨日の日記に登場した後輩はなかなか面白い奴だった。とくにすごかったのが幾多の心霊体験。自分では、いわゆる霊感は強くないと言ってたように思うが、なんのなんの、その体験は霊感まったくなしの僕にはとても怖かった。だいたい彼がくだんの「ドラえもん」アパートに越してきたのも、たしか霊がらみだったと記憶している。彼の実家はアパートの目と鼻の先にあるのだ。不思議に思って尋ねると「実は…」ってなもんで始まったのが幽霊話。そう――彼曰く、実家にお出ましになるのだそうだ。
話によれば、どうも彼の実家は霊たちの通り道になっているらしい。夜寝てると、窓のあたりをフッとよぎるものがある。最初はよくわからなかったらしいのだが、よくよく目を凝らして見るとどうも人の姿に見える。はじめは気にもかけなかったのだが、ある朝のこと。同居している祖母が開口一番、「お前、夜中にわたしの首を絞めただろう」と言ってきたそうな。彼は祖母と二人暮らしだから、首を絞めるとすれば彼以外にいないというわけである。ふつーは、強盗とか泥棒の仕業だとまず考えるんじゃないかと思うのだけど…。まぁ、とにかく彼が真っ先に疑われたらしい。
もちろん彼はそんなことはしていないわけであるが、それから数日の間、祖母は何者かに首を絞められ続けたらしい。そこで彼はある日、事の真相を確かめようとした。どうやら自分の見た影と関係があると睨んだからだ。もともと彼は肝の据わった人間というか、そうした怪しげなものに動じない性格。その日は夜中に寝たふりをして影が現れるのを待った。すると案の定、窓際を横切る何者かを発見。飛び起きてその影をつかんだ。するとこれがなんともかわいい女の子で、その背後に無数のモアイ像みたいな影を引き連れていたという。
驚くべきことに彼はその少女としばらくの間、話をしたのだそうだ。それでこの家が霊の通り道になってることを知ったのだという。それにしても少女との会話はずいぶんはずんだらしく、「きみ、かわいいねぇ~」なんて話しかけたら、むこうも照れてたそうだ。なんかほほえましい。どうやら、祖母の首を絞めていたのは彼女ではないそうで、通り道だけにいろんなのがやってくるらしい。そのうちの一人ではないかと彼女はアドバイスをくれたそうだ。結局、その後も彼の家は霊たちの通り道であることに変わりはなく、さすがにうるさいと思って彼だけ引っ越したのだという。その行く末が「ドラえもん」アパートだったわけで……。運がないというかなんというか。ある意味究極の選択である。
「かわいい女の子の幽霊が出る家(でも霊道)」
「真夜中にドラえもんがとどろくアパート」
さて、あなたはどっち?
2024年02月08日 追記
この後輩は、その後ベンチャー企業に転職して、どんどん会社を大きくして専務にまで上り詰めた。「見えないものを見る力」というのは、秀でた能力として、実社会でも何かしら発揮されるものなのかもしれない。知らんけど。しかし彼の実家、今はどうなってるんだろう……。機会があれば聞いてみたい。
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