人生己の心の指すまま
あれは確か小学校のとき、父から課された受験勉強に精を出していた頃。四文字熟語の意味を回答する問題を解いてた。
「初志貫徹」はじめて見た熟語だ。辞書を片手に意味を調べた。
「初めにもった志を最後まで貫き通すこと。」最初っから最後までおんなじことを続けるって意味?なんだかつまんねぇな。
四字熟語の暗喩的な表現に気がついていない、新しいことが好きで飽き性な子どもであったわたしは、その感想通り初志貫徹という言葉に魅力を感じなかった。むしろ苦手な分野なので子どもながら倦厭したのかも知れない。
それから中学生になり大人になってからも、やはり同じことを続けることが苦手で、ある程度夢中になって熱が冷めるとぱったりやめてしまうというのがわたしの基本方針になりつつあった。そこで満足してしまったのだからそれでいいじゃないか。そう思う一方で最近よく初志貫徹の意味を考える。
思い返せば子どものころに戦争の存在にショックを受け、大学では戦争が起きるメカニズムを知りたさに戦争史を専攻し、そこで得た答えを元に自分の人生を歩んできた。その間に挑戦したこと、挫折したこと、諦められず再挑戦したこと、できなかったこと、それらの選択と経験は雑多で、まるで何のつながりもないように感じる。だがそれらの選択は意識的にも無意識的にも戦争にまつわる勉強の答えからきている。水面下ではすべてつながっているということだ。
初志貫徹とは分かりやすく物事を続けることだけを指すのではなく、物事の背景にある目に見えない繋がりであると、結論に至った。
それならば今後の人生も己の心の指すままに、歩いて行くのが良いのだろう。結局初志貫徹、気がつけばそこに立ち返るのだから。新年からもその心をしっかり見つめて行こうと思う。
編集:真央
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