『オハイオ、ワインズバーグ』

オハイオの架空の田舎町、
ワインズバーグに暮らす
いびつな人たちの物語。
著者を彷彿とさせる
若き新聞記者が聞いた話だ。

19世紀末のアメリカ北東部、
国を分けた南北戦争が終わり
産業革命が本格的に始まって、
街は近代化の波を受け始め、
人間も近代化が心に渦を巻く。

田舎に閉じ込められた人々。
日々の農作業や儲からない商売、
解放はセックスと夢見る冒険。
いつしか街を出て行くと思い、
それができない閉塞感が漂う。

シャーウッド・アンダーソンが
描いたそんなアメリカの田舎町は
日本にだってもちろん存在する。
今だって生まれ育った田舎町から
脱出できないものは大勢いる。

例え脱出しても夢が破れて
舞い戻ってくる人間はいる。
とどまっても出ていっても
苦しく辛く哀しく痛ましい。
痛ましさを堪えて生きるのだ。

死ぬやつだっているけれど
なんとか生きていくしかない。
しかしそこに人間としての
厚みと深みが育まれていき、
一人前の人間になるのだ。

そう信じて今日も生きていきたいのです!