人が漬け物に見える

人間が他のものに思える。

動物はよくあるだろうし、

鳥や魚、昆虫にも見える。

それもそれぞれの細かな

種類まで思い浮かんでしまう。


動物なら犬、猫、虎とか、

鳥なら鶴、鳩、鷹とか、

魚なら鯛や平目、鰺など、

昆虫なら蝶や蝉や蝿など、

いろいろなものに見える。


生物でなく花や草もある。

興味深いのは野菜だ。

あの人は茄子に似てる、

胡瓜かカボチャか芋か、

菠薐草や春菊などもある。


これが漬け物になったりする。

胡瓜や茄子の糠漬けやら、

大根の沢庵や麹のべったら、

奈良漬けやハリハリ漬け。

それも浅漬けから古漬けまで。


漬け物はそれぞれ何に浸けるか

それで匂いも変わるから、

人間も顔や姿だけでなく、

匂いで漬け物が変わってくる。

漬け物の例えが変わるのだ。


あの人は顔と姿は胡瓜で、

汗臭いから糠漬けだとか。

顔は白くて綺麗で甘やか、

だから彼女はべったら漬け。

そんなふうに思えるわけだ。


人を漬け物に例えるのは

ある小説に出てきたことで、

面白いし笑えもするが

沢庵ばばあのように、

悪口陰口にさえなってしまう。


だから例えそう思えたとしても

思うだけで心の中にしまっておく。

ならば、自分は何の漬け物なのだろう。

蓮根の辛子漬け、辛子蓮根だろうか。

体の穴に辛子が詰まっているのだ。