お寺の鐘の音

お寺の鐘の音が

鳴らなくなってから久しい。

僕が子供の頃はお寺の鐘が鳴れば

友達との遊びをやめて家に帰ろう。

そんなふうに身近なものだった。


お寺の大きな釣鐘は梵鐘と呼ぶ。

重々しく心に響く梵鐘の音は

朝夕の時刻を知らせる以上に

苦を逃れさせ煩悩を振り払い、

悟りへの功徳をもたらすものだ。


それ故にお寺の鐘の音は

とてもありがたいものなのだ。

うるさいから鳴らすなというのは

まことに愚かな言動である。

心して静かに聴き入ることだ。


西洋社会でも教会の鐘の音は

とても重んじられてきた。

朝の鐘の音に今日の幸せを祈り、

夕の鐘の音には無事に過ごせたことを

神様に感謝するのだ。


日本でもまったく同じことだ。

お寺の鐘は1500年も前から

我々の幸せを願って鳴らされてきた。

再び、どこのお寺からも

朝夕の鐘が鳴らされますように。


朝夕に 幸せを願う 鐘が鳴るなり 京太郎