川松さんとフォルテピアノ

フォルテピアノの演奏で
ショパンの別れの歌を聴いた。
ショパンが弾き作曲した時代の
1842年製のプレイエルなる
フランスのピアノを使った
川口成彦さんの演奏だった。

今のピアノは鍵盤を最後まで
押さなくとも音が出るけれど、
昔のフォルテピアノは
しっかり押さないと鳴らない。
それだけに早弾きしづらく、
今のような演奏は難しい。

ピアノのペダルも今のものは
一音が長く響くが昔のものは
響きが短いため踏み続ける。
ショパンが書いた譜面は
踏み続けろの指示だから、
ショパンの考えで演奏しやすい。

川口さんの演奏を聴くと、
ショパンが弾いたであろう
その時代の音が響いてくる。
厚く温かく重厚な木質な音。
別れの歌が甘く切ないだけでなく
渋味を帯びた心の陰影が浮かぶ。

ショパンが弾いた音が聴ける幸せ。
川松さんとフォルテピアノに感謝。