紫式部酒は雲隠れ

昨秋、ムラサキシキブの実が
お隣から這い出しているのを見て、
いただいて酒にすることにした。
小粒の実だけを枝だからこすげ落とし、
氷砂糖とホワイトリカーで漬けた。

半年以上経った今年5月、
すっかり漬かった酒を出した。
紫色の実は何とも美しいが、
漬かった酒はやや茶色い。
香りも味も独特なのである。

紫式部の清楚で知的な味わい?
平安時代の雅な味わい?
どちらでもない微妙な味わいで、
炭酸で割って薄めるとよくなる。
もちろん、お隣にもお裾分け。

紫式部の百人一首の歌。
「めぐり逢ひて
見しやそれとも わかぬ間に
雲がくれにし 夜半の月かな」
この酒もめぐり逢っても
ほんのひとときの味わいで、
夜中の月の如くすぐに雲隠れ。