漱石山房

初めて漱石山房記念館に行った。
早稲田近くの馴染みの場所、
そこに漱石の住処があったとは
まったく知らなかった。

漱石が49歳で亡くなるまでの
9年間を過ごした山房があった。
空襲で灰になってしまったのを
新宿区が再建したそうである。

できれば漱石が生活したままの
木造家屋で再建して欲しかった。
弟子たちと文学談義をした
雰囲気漂う山房ならよかったのに。

漱石は此処の書斎で『三四郎』
『それから』『門』『彼岸過迄』『行人』
『こころ』などを立て続けに書き、
『明暗』執筆中に亡くなったのだ。

漱石山房記念館に行って驚いたのは
漱石が絵もとても上手だったこと。
水彩画は味わい深いものばかりだし、
掛け軸とした水墨画の猫も趣きがある。

隣の漱石公園は終焉の地として
漱石の銅像と漱石が可愛がった
代々の猫たちを祀った猫塚があった。
愛し愛された素敵な人だったのだ。