殻付き雲丹

雲丹と結婚したいと言った
仕事仲間の女性がいたが、
甘くねっとりした雲丹は
他に代えがたい旨さがある。

東京から長崎の琴海町に
移住した金子数栄さんは、
漁師の資格を取って
海鼠や雲丹を捕っていた。

雲丹は殻を半分割って、
殻付きを食わせてくれた。
塩水が甘い雲丹に漬かって
とろけるようだった。

広尾の寿司景色でも
殻付き雲丹が出た。
紫馬糞雲丹で大きい。
たっぷり食べられた。

東北自動車道の
蓮根サービスエリアに
魚屋さんが入っていて、
殻付き雲丹があった。

大喜びで買って帰る。
久しぶりの殻付き雲丹。
スプーンでかきだし、
あっという間に食べ終わる。

それでも嬉しかった。
貧弱ではあったが、
長崎を思い出した。
数栄さんと箱メガネで
採った雲丹のことを。