不死身の男、高安

大相撲で好きな力士は
何と言っても高安である。
のんびりとした風貌で
「起きてますか?」と
聞きたくなるほど
眠たそうな顔である。
そこが何ともいいのだ。

ちばてつやの相撲漫画
「のたり松太郎」を
彷彿させるが、
暴れん坊ではないので、
佐伯泰英の時代小説、
「居眠り磐音」の
関取版かもしれない。

これまでに何度も
優勝争いをして
惜しいところで敗れる。
先日の九州場所も
千秋楽まで星1つ、
リードして阿炎に
勝てば初賜杯。

爆発的なかち上げで
阿炎に挑むも
のど輪でかわされ
体を起こされる。
懸命に突き押し、
あと少しのところで
突き飛ばされた。

優勝決定戦で再び
阿炎と相まみえたが、
左に変わられて
顔から地面に落ちた。
またしても高安は
優勝できなかった。
しかし全く悪びれない。

敗れても清々しい高安。
「負けたのは
稽古が足りなかったから。
もっともっと精進する」
早くも再生を誓う高安。
何度死んでも復活する。
不死身の男なのだ。