一人花見

満開だった桜に
冷たい雨が降り、
堪えながらも
花が落ちてしまう。

嬉しそうな桜が
寂しい顔に変わり、
灰色の曇り空に
花の色が褪せる。

ベンチに腰を下ろし
ぼんやりと見上げ、
心浮き立つことなく、
粛々と花を眺める。

北風がぴゅうと吹き、
寒さに身を縮め、
侘びしい花吹雪が、
濡れた地面に貼り付く。

一人で見る花見は
あまりにも哀しい。
花見は多くの友と
愉しむものだから。

粛々と 侘びしさ堪え 花一人   京太郎