町いちばんの美女とお祭り

チャールズ・ブロウスキーに
「町でいちばんの美女」なる
自堕落を描いた小説があるが、
僕の町のいちばんの美人といえば
肉屋のおばちゃんである。
ブコウスキーの美女は娼婦だが、
こちらはいたって健康な美女だ。

肉屋のおじちゃんは気のいい人、
いつもふらふらと自転車に乗って
何処かにお肉を届けている。
どうしてこのおじちゃんに美人が
お嫁に来たのかはわからないが、
まるで天才バカボンのパパとママ。
とてもいい感じの夫婦である。

肉屋のおばちゃんの真骨頂は
町のお祭りの時である。
きれいな白地の浴衣に身を包み、
ウチワを帯の後ろに入れて、
山車と一緒に町を練り踊る。
今年はようやくコロナが明けて
久方ぶりのお祭りが行われた。

ワッショイ、ワッショイと
猿股の男たちが山車を担ぐ、
賑やかな町のお祭りが戻ってきた。
肉屋のおばちゃんは大張り切りで、
女性たちの踊りの先頭に立つ。
少し歳を取ったって、
やっぱり肉屋のおばちゃんが
町いちばんの美女である。