トムの真夜中の庭

『トムは真夜中の庭で』
今から50年以上も前に
フィリパ・ピアスが書いた
児童文学の傑作である。

英国の低地地方に住む
少年トムは夏休みの間、
叔母さんの家に暮らし、
不思議な体験をする。

居間の古い大時計に
導かれるように
閉ざされた扉を開くと
夢のような庭園がある。

美しい花が咲き乱れ、
イチイとモミの木が
高くそびえている。
園丁や子供たちもいる。

トムは毎晩その庭で
ハティという少女と
一緒に楽しく遊ぶが、
少女だけが成長する。

トムはハティの生きる
「時」の中に飛び込み、
異なる時の経過とともに
ひと夏を過ごすのだ。

100年前に現実として
存在していた世界を
今体験できるとしたら
どんなに面白いだろう。

それを見せてくれたのが
このトムの物語である。
子供の夢を現実として
まざまざと蘇らせてくれた。

子供の心はいつまでも
色褪せることなく新鮮で
いつの世でも変わらない。
その純粋な気持ちは
大人にも感動を与えてくれる。