親友Nとのゴルフ

「また一緒にゴルフができるなんて

僕は本当に嬉しいんだなあ」

Nとのゴルフは10カ月振りだった。

僕が倒れたときには再び

クラブを握れるとは思えなかった。


Nとは幼稚園から高校まで

ずっと学校が同じだった。

クラスもクラブも違ったけれど

根性の無さは同じだった。

それはゴルフでも一緒だ。


「いつも泥仕合だよなあ。

お前がミスすると俺がミスする。

俺がミスするとお前がミスする。

チャンスなのにものにできない。

ゴルフも人生も一緒だよなあ」


そう言ってお互い笑い合う。

でも、病で倒れたあとも

いつ倒れてもおかしくないと

医師から言われてからは

ゴルフをするのが怖かった。


それが自分の体と会話ができ

折り合いがつけられるようになって、

とうとう一緒にプレーすることになった。

楽しかった。本当に楽しかった。

広々としたコースでボールを打ち合った。


Nには普通のことだったかも知れない。

でも、僕には奇跡のように思えた。

スコアも勝ち負けも関係ない。

ただ一緒にプレーできることの楽しさ。

それだけで神様に感謝したい気持ちだった。