モナリザ、微笑みの狂気

世界で最も有名な絵画
レオナルド・ダ・ヴィンチの
「モナリザの微笑み」。
16世紀初頭に描かれたが、
謎めいた微笑に魅了される。

モナリザの優しい微笑みは
しとやかで純真で奥ゆかしく
愛情豊かで包容力もある。
人々を幸せにする癒やしの
効果さえあるといわれる。

しかしその一方で16世紀は
笑うことは卑しい人の行い、
精神錯乱した異常者の行為と
人々から侮蔑されてもいた。
狂気の微笑というわけである。

絹商人のジョコンドの妻、
リザ・デル・ジョコンドが、
モナリザのモデルと言われ、
「ジョコンドの微笑」とも
この絵画は呼ばれている。

英国の小説家兼随筆家の
オルダス・ハックスレイは
短編の名手でもあったが
『ジョコンダの微笑』という
ミステリーめいた物語がある。

ジョコンダの微笑みを持つ
主人公のミス・スペンスは
愛する男の愛を得ようと、
彼の妻を砒素で毒殺する。
狂気の微笑を浮かべて。

その時からモナリザの微笑みが
僕には怖ろしくて堪らない。