日本人の温かい心

「餅花」の詩を読んでくれた方が
随筆家、鮫島純子さんの絵本、
『あのころ、今、これから…』を
贈ってくださった。

鮫島さんは渋沢栄一のお孫さん。
現在99歳のおばあちゃまだが、
背筋はピンと伸び、足取り軽やか、
感謝の気持ちを大切にする方である。

『あのころ、今、これから…』は
鮫島さんが77歳のときの作品。
お祖母ちゃんが孫に残したい
日本の佳き暮らしを描いたものだ。

日本女性の良さは奥ゆかしさ、
笑うときは口を隠したもの。
地面に直に座ったりはしないし、
背筋を伸ばして歩いていた。

主婦は竈でご飯を炊き、
お風呂は薪で沸かし芋を焼き、
姉さん被りして盥で洗濯、布団干し、
障子や襖も自分で貼った。

ものを大切にするから
何でも捨てずに直して使う。
刃物は研ぎもの屋に、
鍋釜は鋳掛屋に直してもらった。

路地には桶を担いだ魚屋や豆腐売り、
金魚売りや薬売りがやってきた。
紙芝居屋や綿菓子屋や飴屋、
ちんどん屋も街を賑わした。

今や皆すっかり姿を消したけど、
そこには心が通う人情があった。
近所の人たちが顔を合わせ助け合った。
貧しいけれど心は豊かだった。

日本人が日本人を助け合い幸せになる。
当たり前のことがいまはできてないけど、
みんなの心掛けひとつですぐに蘇るはず。
温かい心を伝えていくことが大切なのだ。