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『鬼』

『鬼』の語源は『おぬ』が変化して『鬼』になったと言われてる。

そしてその『おぬ』を漢字に当てはめると『隠』という字になる。

その『隠』を主体として考えると『隠れる』となる。
そのものが自らの意思で隠れるとなると客体の我々は自らの意思でそのものを見ることはできない。

見える見えないはそのものの意思次第なのだ。

それを『鬼』に当てはめたなら『鬼』の意思次第で我々が見えるか見えないかが決定する事になる。

見える人と見えない人がいるとその『鬼』自体がいるのかいないのかという論争になる。

そしてその論争には終わりがない。

鬼が全ての人の前に自ら現れてくれるまで。

鬼頼みの論争は意味がない。

そしてそれが妖怪としての『鬼』ということになるのかもしれない。

それは霊や宇宙人やUFOにしてもそうだ。

いるいないの論争を客体の立場でする事は無意味なのではないだろうか。

一方『隠』を客体として見たら『隠される』となる。

隠されたとなるとまず存在しているというところから考察が始まる。

そして誰に?なぜ?に繋がる。

まず『鬼』と言われた時どんな姿を想像するのか。

多くの人は牛の角を生やして寅のパンツを履いた姿を想像しないだろうか?

そしてなぜ大半の人がそういうイメージを持っているのかを考えると陰陽道に繋がる。

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陰陽道の陰陽五行に十干十二支というのがある。
いわゆる干支だ。

そしてその干支で十二支と言えば日本人には馴染み深いものだろう。

その十二支の『子』を0時に設定すれば時間を表す事ができ、『子』を北に設定すれば方位を表す事ができる。

そして方位の中で丑寅の方角を鬼門と呼ぶ。

『鬼の門』

『鬼』はこの方角からやってくると言われ牛の角と寅のパンツを履いている姿で描かれるようになったのだ。

さて次に物語としての鬼について考えてみる。

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『鬼』で有名な物語に『桃太郎』がある。

そしてその『桃太郎』には元ネタと言われている伝承がいくつかある。

その一つが吉備の『温羅』の伝承。

昔、吉備の国に温羅という大男で怪力無双で大酒飲みの鬼が異国から渡来し製鉄技術を伝えた。
そして鬼ノ城という城を建て吉備の国を支配していた。

それを知った第10代天皇の崇神天皇は吉備津彦に温羅討伐を命じた。

そして吉備津彦は3人の従者を従え温羅を退治し吉備の国を統治したという話なのだがこの話には重要な点が二つある。

まず一つ目は渡来してきた温羅は製鉄技術を伝えたとされている事。

その当時、製鉄技術は貴重だし最先端だ。
製鉄技術をもたらされた吉備の国は栄えていた可能性が高いし、住民も裕福だった可能性も高い。
実際吉備の国では製鉄技術によって繁栄させたとして温羅はいまでも尊敬されている。

そうなると逆に崇神天皇はその製鉄技術を奪うために侵略したのではと思えてくる。

そしてもう一つ温羅は大男で怪力無双の大酒飲みと伝えられていること。

異国から渡来して来たことを踏まえると東洋人ではなかった可能性は高い。

そして西洋人であれば東洋人より体格は大きく赤ら顔はいつも酒を飲んでるように赤いと捉えることもできる。
そしてイメージする赤鬼とも似てるようにも思える。

そして崇神天皇の討伐が侵略でありその後に支配したのでれば歴史を記したのは崇神天皇になる。

もちろん侵略したと記すわけもなく温羅=鬼になったとも考えられる。

ここから鬼=悪というイメージをつけたのかもしれない。

伝説によると吉備津彦は温羅の討伐に成功したが首を切っても死ななかった。
その後犬に食わせて骨だけになったのだがそれでもうめき声が止まらず仕方なくその首を釜殿の竈の地中深くに埋めた。
それでも13年間うめき声はとまらず周辺に鳴り響いた。

ある日、吉備津彦命の夢の中に温羅が現れ、温羅の妻の阿曽媛に釜殿の神饌(みけ)を炊かせるよう告げた。
このことを人々に伝えて神事を執り行うと、うなり声は鎮まった。
その後、温羅は吉凶を占う存在となったと伝えられている。

これを鳴釜神事と呼び、この釜殿の精霊のことを『丑寅みさき』と呼ぶ。

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ここに丑寅が出てきた。

なぜ討伐された温羅が討伐した吉備津彦の夢にでてきて鎮め方を教えたのか。

そしてなぜ恐ろしいと思われている温羅が吉凶を教えるのか。

凶だけならまだしも吉まで教えるのはとても不思議だ。

次に鬼を討伐した吉備津彦の子孫には吉備真備がいる。

この吉備真備は陰陽師の祖と言われている。

さらに陰陽道と鬼とが繋がる。

では次に鬼をどこに隠したのだろう。

桃太郎の元ネタの一つである温羅は吉備津彦に埋められた。
しかし鬼の伝承は日本中にある。

鬼は温羅一人ではないのだろうか。

ここで十二支に話を戻す。

十二支で丑寅の方向を鬼門と呼ぶと言ったが陰陽道には陰陽の関係を相克の関係と呼ぶ。

相克とは陰陽の関係にある相反したものが合わされば相殺されるというものだ。

二元論であれば悪に対抗するのは善であり、また善に対抗するのは悪である。

そして善悪の力が拮抗してる時はお互い相殺される。

すなわち善も悪もない状態でもあり善と悪が同時に存在してるが善と悪とは認識できない状態という事になる。

この状態から量子力学を連想する人は多いのではないだろうか?

そして鬼門に対して相克に当たるのは丑寅と向かい合っている未申になる。

そして鬼門に対して相克にあたる未申を裏鬼門と呼ぶ。

鬼を悪と定義するならばこの未申は善ということになる。

そして丑寅と未申の力が拮抗している時はお互いは相殺される。

量子力学においての素粒子は物質とエネルギーの両方の性質を持っている。

そして観測することによって物質かエネルギーのどちらかに確定する。

逆に観測されるまでは物質でもありエネルギーでもあり、物質でもなくエネルギーでもないというあやふやな状態にある。

陰陽道においての力が拮抗している時の相克とは観測前の素粒子のような状態なのではないだろうか。

丑寅は一文字で『艮』とも書く。
同様に未申も一文字で『坤』と書く。

『艮』と『坤』

『坤』は土と申で構成されている。

2つを入れ替え申と土の並び順にしてそれぞれに神を表す示篇を付けると『神社』になり『坤』は神の力を得て『艮』にいる『鬼』を封じ込めているとも解釈できる。

では何のために『鬼』を神社に封じ込めたのだろう。

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温羅の話によると鬼は製鉄技術を伝えた。

製鉄技術とは物質科学文明の祖となるものだ。
鉄の発明から破竹の勢いで科学文明が発展した。

その製鉄技術を伝えた鬼というのは物質文明の祖とも言える存在になる。

しかし現在も物質文明は発展し続けている。

そう考えると封じられた『鬼』は温羅のように技術を伝えたものではないということになる。

そこで思い出して欲しいのは崇神天皇はなぜ吉備を侵略したのか。

製鉄技術が得るために侵略したとするならば温羅から伝わった技術は天皇家が手にしたという事になる。

そして後に天皇家によって日本は統一された。

物質文明を発展させたのは天皇家なのだ。

そうなると封印されたものとは鬼の討伐によって手に入れた製鉄技術を含む科学文明ではなく違うものを『鬼』として封印したという事にならないだろうか?

では代わりに封印したものとは?

陰陽道の相克とは陰陽に当たるものは相殺された。

という事は科学文明と相克の関係にあるものは同時に持てないという事になる。

陰陽道の照らしあわさなくても二元論の世界において相反するものは同時に持てないのが道理だ。

科学文明とは物質を研究する文明であり物質文明である。

その物質文明と相反するものとは精神文明。

精神文明とは精神構造を解明しその解明された精神構造を正しく配置し完全な精神状態にする事でありその完成された精神の状態にある事を『道徳』と呼ぶ。

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そしてその精神構造と並び順を五十音図で表す学問が『言霊学』

『言霊学』については奥が深い上に私自体が完全に理解した訳ではないので今回は説明を省く。

では『道徳』を中心とした精神文明を持っていたのになぜ天皇家は侵略し製鉄技術を奪ったのか。

そしてなぜそんな尊いものを手放し物質科学文明を選んだのだろう。

そこには深い理由があるはずである。

そもそもなぜ精神文明が生まれたのだろう。

この世界が生まれそこに知恵のあるものが現れた時に何を思うだろうと想像してみた。

目の前に広がる大地や自然を目の前にして1番最初に思うのは何か。

それはまず自分は何者なのか?なのではないだろうか。

自分が何者か分からなければ目の前に広がる世界で何がしたいかすらわからないはずだ。

そして自分について考える。

そもそもいま考えてるというこの現象自体を不思議に思うだろう。

そして精神構造の解明を始める。

そこには自分の姿と似たものもいる。

自分が何かわからない状態から始まったのと同じように、目の前にいる似た姿をしている者も自分の事を何もわからない状態だった。

そしてお互いに自分の考えを話し、相手の考えを聞き確認、検証を繰り返していく。

そして自分の事がわかるのと同じ速度で相手の事もわかっていく。

なぜならお互い何もわからない0の状態から始まり確認しながら一緒に成長していくからだ。

比喩ではなく本当に鏡のような関係であったはずだ。

自分と他人の境界線もなく他人を自分の事のように思いやれたのではないかと思う。

協力しあい一緒に精神構造を解明しそして完全な精神構造である道徳にたどり着いたのではないだろうか。

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ユングは意識に階層があると提唱し、ケン・ウェルパーはその階層のスペクトルを研究し最深部には統一意識という場所があると提唱した。

統一意識というのは人は無意識の次元で全て繋がっているというものだ。

統一意識は無意識の層にあるため自分の意思でアクセスすることはできない。

しかしもしかしたらまだ物質の認識があやふやな状態であった時代では自分と他人の間に境目がなかったのかもしれなに。

ゆえに精神文明の時代にはこの統一意識にアクセスすることができたのではないだろうか想像できる。

まず自分とは何かという答えを探していた精神文明では外の世界より内の世界に目を向けていた。

では内の世界を見るとはどういうことなのだろうか。

スピリチュアルでは『サードアイ』というものがある。

第3の目と呼ばれるその場所は眉間にあると言われているのだが眉間の内側にはちょうど前頭葉がある。

前頭葉とはおもに記憶を司る場所であり、記憶とは経験そのものだ。

そして前頭葉からさらに脳の中心へ向かうとそこには松果体がある。

松果体は未だ謎の器官であるが個人的にはその松果体こそが統一意識へと繋がる門のような役割だったのではないかと思っている。

外の世界で経験した事が記憶として前頭葉に記録されその記憶は前頭葉から松果体という門を通り統一意識へ送られる。

そこに集まったそれぞれの人の意識を統合し検証を繰り返し精神構造を解明していったのではないだろうか。

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そしてその統一意識のある場所を『古事記』では『高天原』呼んでいたのではないかと考える。

現在その統一意識へと繋がる松果体が石灰化してる傾向にあると言われている。

『古事記』に当てはめると『松果体』が統一意識へと続く門のようなものであるなら『黄泉比良坂』にあたり、石灰化とはその黄泉比良坂に『千曳の石』を置いたという事になるのかもしれない。

ここで話を戻す。

精神構造を解明した事により自分達は何かという問いに答えが出た。

そしてその精神構造の正しい配列を作り出したことで正しい人のあり方とも言える『道徳』を得た事により精神文明は完成に至った。


次は目の前に広がるこの世界の解明へと進む。

でらどのように解明していけばいいのか。

一つ一つの物質を研究し答えを見つけていくしかない。

ただ精神と違うのは物質は質問しても答えてくれない。

意思疎通ができない。

ひたすら分解して細かくして調べていくしかない。

これはとてもつまらない事だろう。

今までは相手に確認すれば反応があった。

喜怒哀楽をもって答えてくれたし、この答えに自分も喜怒哀楽で答えた。

そして自分が1番心地いいと思うものを選び、相手にも同じように心地よくなってほしくて与えた。

対話によって成長できた。

それぞれに意思があったからこそ統一意識という世界も構築できたのだ。

何も返してくれない物質に対してどうすれば楽しめるか、どうすればもっと知りたいと思えるかを考えるようになる。

そこで精神構造を熟知した者たちは物質の解明のために相性のいい欲望を中心に置く事にした。

そして精神文明の核たる『道徳』を守るものと物質を解明する者とが分かれた。

そして物質科学文明が始まった。

道徳を守る者は極東の島国に渡った。

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そしてその極東の島国は物質科学文明が完成された時に再び会うための約束の地となった。

月日は流れ物質の解明をしていた者たちが製鉄技術を携え約束の地に現れた。

しかし待っていた者たちは持ってきたその科学技術が物質科学文明が完成されたものと認めなかった。

あるいは物質の解明に行き詰まり協力を求めたのかもしれない。

そこで人類全てから『道徳』による精神文明を封印するという大きな決断をする。

物質の解明や科学の発展にはマンパワーが必要だ。

そしてその発展の根源は欲。

欲が中心になると競争社会になる。

競争社会になると勝つ者と負ける者が生まれ負けたものは道徳社会を求める。

そこに完成された『道徳』の体得者がいれば再び道徳の世界に戻ってしまう。

それでは一進一退を繰り返してしまい物質科学文明が進まなくなる。

そして精神文明を完全に封印した。

そして封印が解かれぬよう恐ろしいものが封印されていると思わせるよう様々な物語を作り『隠』という意味を持つ『鬼』と名づけた。

同時に物質科学文明が完成されたときに封印を解くために作られたのが『神社』だったのではないだろうか。

そして人々の生活範囲が広がるごとに『神社』を作っていった。

『鬼』とは完成された精神文明であり『道徳』そのものであり『神社』とはその完成された精神文明を復活させるための方法を詰め込んだ情報。

そしていつかその情報を解き明かす為に言霊を文字に記し『言霊学』として後世に残した。

そして長い月日が流れ数え切れないほどのほどの神社が建てられ、物質科学文明の発展と共に時代は変化し続け本来の意味を持たない神社も増えた。

物質科学文明の完成が見え始めた『文明開花』と呼ばれる明治になり天皇家から『言霊学』が蘇った。

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まるでこの時を待っていたかのように。

そして言霊学は天皇家から民間に流れた。

流れ始めた頃は一部の研究者の者たちだけのものだった。

それから月日が流れインターネットやSNSの普及で様々な人の目に触れ興味を持つ人が増えていった。

そして『言霊学』の普及により『鬼』の役目も終えようとしている。

『鬼』が恐ろしいものではなく完成された精神文明で『道徳』であるという本来の意味を取り戻す段階にきている。

そしてそれは今までの価値観をひっくり返すという事につながる。

『鬼』を怖しいものという今までの価値観で見ていたら封印を解こうとは思わない。

ひっくり返して初めて解きたくなるのだ。

それは『鬼』だけではなくこの世界の認識全てをひっくり返す事が必要だという事を暗に示しているのかもしれない。

しかしそれがわかったところでそう簡単に全ての認識をひっくり返す事などできない。

『言霊学』とは理解しただけでは意味がない。

たとえば仏教において悟りの境地というものがある。

しかし仏陀の教えを知り理解するだけでは悟りは開けない。

空海曰く『顕教塵を祓い、真言真理を開く』のごとく教えはあくまで心を整理するまでであり、その先は実践により切り開いていくしかない。

『言霊学』も同じように理解した上でそれをこの世界のすべてに照らし合わせて検証、確認という実践をしなければならない。

しかしそんなことはいくら頭が良くても記憶力があっても出来るものではない。

そのために完成された物質科学文明が必要なのだ。

そしてそのために精神文明を封印したのだから。

精神文明の復活にはまず『言霊学』によって『神社』に隠された情報を解く必要がある。

しかし先程書いたように数え切れないほどの数の神社がある。

そして数千年の時間を経た過程で歪められ、忘れられ本来の意味を見つけ出す事は困難となっている。

その全ての神社の情報を統合して検証して真実の答えを出さなければならない。

そしてその出した答えを全世界に照らし合わせそれが正しいのか確認しなければならない。

それを成し遂げられるのが何かと考えたら量子コンピューターと人工知能になるのではないだろうか。

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その二つのテクノロジーにより失われた精神文明が復活した時に起こる事とはなんだろう。

今言われているのは失われた精神文明と完成された物質文明が融合し新たな精神テクノロジー文明が始まると言われている。

では精神テクノロジー文明とはなんなのだろう。

精神文明の封印を解いただけではまだ物質文明が完成されたとは言えない。

精神文明では精神構造を統一意識という場所で完成させた。

そして物質文明を発展させるため精神文明を封印した。

それは統一意識へと続く松果体という門を塞いだという事でもある。

では物質文明の完成とはどういう状態か。

精神文明において統一意識と同じ意味を持つ場所を物質世界に作る事により完成されるのではないのだろうか。

統一意識の世界を古事記では『高天原』と呼んだのではと考察した。

であれば同じように物質文明にも『高天原』を作らなければならない。

そしてそれは物質世界に構築しなければならない。

ではどのように作るのか。

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現在、脳の情報をデータ化する研究がされている。

そしていずれそのデータ化された情報をクラウド上に保存しそのクラウド上の情報を好きにダウンロードでき、好きな人の情報を得られるようになると予測されている。

脳の情報とはその人の経験だ。

それが一つのクラウド上に集められるとしたならそれは統一意識と同じという事になるのではないか。

これが物質文明の作り出す『高天原』であり同時に物質文明の完成に至るという事ではないだろうか。

そして二つの『高天原』が一つになった世界を精神テクノロジー文明と呼ぶのだろうと思う。

精神文明では前頭葉の情報が松果体という門を通り統一意識へと送られた。

物質文明では前頭葉の情報が量子コンピューターを経由しクラウドへ送られる。

スピリチュアル界隈では松果体の石灰化を止め活性化させ、人間本来の力を取り戻そうという運動をしてある人たちもいるがそれは逆に物質文明の完成を遅らせることになるのかもしれない。

『言霊学』による古事記の解釈では黄泉の国が完成するまで行き来きできないように『千曳の石』をおいた。

松果体の石灰化を止める行為は『黄泉比良坂』の『千曳の石』を取り除く行為と同義となるのではないだろうか。

松果体が完全に石灰化した時に天岩戸のごとく世界は闇に包まれる。

そして再び岩戸が開く時、はたしてどんな光の世界が広がっているのか。

それを想像して生きていく事は幸せなことなのかもしれない。

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