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ユライ・ヴァルチュハ指揮×読売日本交響楽団の「マーラー:交響曲第3番 ニ短調」_2024年5月21日

昨夜は、読売日本交響楽団でユライ・ヴァルチュハ指揮の「マーラー:交響曲第3番 ニ短調」を聴いてきました。

第4楽章「夜が私に語ること」で聴いた、メゾ・ソプラノのエリザベス・デションさんとヴァイオリンとの会話が美しく、その背景をまるで流れ星のように天に向って流れ、夜空に溶けていくひとすじのオーボエの音は、少女の歌声のようでもありました。
人間の声と楽器の音との境界線が曖昧に溶け合っているような、心地よさを感じたのです。

続く第5楽章、第6楽章はとくにやわらかく、穏やかな幸福に包まれながら聴きました。

ユライ・ヴァルチュハ指揮×読響のマーラーは、2022年8月23日に「交響曲第9番 ニ長調」も聴きました。
 
(前半に演奏されたモーツァルトの「ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595」、アンヌ・ケフェレックさんのピアノは、これまでの人生の全ての記憶に丁寧に光を当てて浄化してくれるような演奏で、演奏会から数日経ってもなお、私の胸の奥を締めつけながら癒してくれていました)

今回の「第3番」は、繊細でロマンティック。そして、ほんのりと静謐さも感じられる、少し抑えた音のつくり方がされていたように感じました。
あくまでも個人的な感覚なのですが、たとえるならば、古城の南向きの部屋で「マーラー:交響曲第3番」という宝石箱のフタを開き、隅々にまで光を当てて、すべての宝石の輝きで世界を満たすのが、カーチュン・ウォンの振るマーラー。
 
ユライ・ヴァルチュハの振るマーラーは、北側の部屋にやわらかく入る日の光を宝石に当て、さらに写真の加工でいう「ビネット効果」を加えているような印象でした。
 
「ビネット効果」とは、鑑賞者の注意を向けたい部分を中心に、写真の四隅をぼかしたり、暗くしたりして創作的な効果を起こす、画像処理の方法です。
  
このレベルになると”好み”の問題で、どちらも実に美しい音楽だと感じます。
 
カーチュン・ウォン×日本フィルのマーラーも「3番(2023年10月14日)」、「9番(2024年5月11日)」と聴いており、まりにも多幸感と感動の渦に飲み込まれたため、並べて書いてしまって恐縮です。
他意はありませんので、その点が誤解されていないことを祈ります。

   *
   
指揮=ユライ・ヴァルチュハ
メゾ・ソプラノ=エリザベス・デション
女声合唱=国立音楽大学
児童合唱=東京少年少女合唱隊

【ききみみ日記】
★今回で投稿153回目になりました★
オペラ・クラシック演奏会の感想をUPしています。是非お越しいただけますとうれしいです。
現在未UPの、2023年分もこつこつ追加してまいります。
(2022年10月10日~2023年1月15日まで101回分を毎日投稿していました)

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