見出し画像

はじまりの場所

 「soundtracks Vol.4」は、多目的喫茶店アイビィの店主市田勇太さんと田中君の対談を「無目的と多目的のあいだ」というテーマで。
 今年はそれほど暑くはなかった札幌で、急速に秋めく中での開催。8/28のVol.2の朝、1年ぶりに風邪を引いた感覚があったが、それほど悪化せず、9/1のVol.3も無事終了。とはいえ、何か感覚がおかしいというか、腑に落ちない感覚もありながら迎えた9月4日のVol.4。

 職場が札幌市教育文化会館のとある一室に引っ越し(職場の元々の本拠地)、アイビィは自転車で5分程の距離。仕事終わり、2時間ほど時間があったので、ここは迷わず、桑園のたまゆらに行って、風呂あがって小上がりでだらんとしていよう。近くの喫茶で時間を過ごしてもよいが、今のコンディション的に身体を緩めておいた方がよい。さっと風呂に入り、ごぼうのかき揚げが別添えの、あったかいうどんを食べ、しばし横になる。

 いい感じの眠気と、肌寒さはまだ感じない夜の外気に包まれながら再度南下し、アイビィへ。最近は無意識に冷たい飲み物を過剰に摂取していたので、セイコーマートであったかいほうじ茶を2本購入。

 と、ここまでsoundtracks 本編と関係がない話と思われるかもしれないが、私にとってはこちらも本編である。対談の場を迎えるまでの準備も本編であり、準備自体も楽しいのだ。仕事が終わってアイビィ付近で時間を過ごして、対談に意識を高めれば、「無理をして」、「より充実した対談」になったのかもしれない。しかし、私はそれを求めていない。もしくはそれに抗ったのかもしれない。

 もっと言えば、このような対談をセッティングせずとも、もっと日常の中で対談的な場が流れる時間や場所の中に生きていたいと思う。それが、マスターの「山崎さんは新たな研究の流派をつくろうとしているのではないか」、「山崎さんのやっていることは修行なのでは」という趣旨の発言に対する、私なり、homeportなりの解釈だ。

 舞台を整えなくても、常に整っている状態。もしかしたら、それをマスターは喫茶店という営みを通して実践しているのかもしれない。元々アレルギー性に起因する副鼻腔炎であることが、約2年前に分かり、1年前に風邪を起因に悪化し、それから嗅覚がほとんど機能していない。homeportに帰ると漂ってくる、大地の珈琲の香ばしい焙煎の薫りも感じない。

 おそらく風邪のような症状も恒常的な副鼻腔炎と季節の変わり目、忙しさに起因するものだと思う。ずっと、顔の内部に”詰まり”があり、滞っている状態。排水溝の詰まりを放置して、ヘドロになっているような。それを内側からも外側からも、通気をして少しずつ取り除いていくこと。あるいは、ヘドロのような「そいつら」と共棲していくこと。私の中では、対談をすること、企画することは、そのことと繋がっている。

 Vol.4は心地よい風呂上がりの感覚で、楽しくおしゃべりができた。今回は対面上の私とマスター、画面越しの田中君という構図になり、結果的に私とマスターの対談のようなかたちになった。それもまたいいだろう。

 昨日、久しぶりに耳鼻咽喉科に行ったら「手術も検討した方がいいかもしれません」と言われた。満を持しての手術。それもいいかもしれない。年内に手術をして、大地の珈琲の薫りを纏えるようになる。そして、昨年のリベンジで北区の雪合戦にhomeportで出場する。そんな未来に思いを馳せるのは最高に楽しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?