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#3.「愛聴名盤」〜あなたの名盤聴かせてください〜【Mr.Children】編

レコード、カセットテープ、CDなど時代によって音楽を届ける媒体は変わって来ました。現在は配信世代真っ只中といった時代でしょうか。

そんな中僕はNHKさんの方で不定期?で放送されていた名盤ドキュメントという番組が僕は大好きでした。アルバムの制作の裏話や他のアーティスト分析など、すぐさまこの番組の虜になりまして…笑
何か自分から発信できる機会があれば自分の名盤を語りたい!と同時にもっと色んな名盤を知りたい!ということで今後は募集もしていきたいと思ってる所存でごさいます。

とりわけ最近では滅相アルバムで通しでツルッと聴くという文化は減ってきましたねぇ。
そんな現在だからこそ、この企画をやりたいと思います!題して

〜「愛聴名盤」あなたの名盤
聴かせてください〜

#3 Mr.Children
「深海」1996年6月24日Release


アルバムを聴く前に‥ちょこっと自己分析!
人気絶頂期に発売された初めてのコンセプトアルバム。26歳になった桜井和寿が全てを吐露し弱い部分すらも全面に見せた歌詞たちに注目すると同時に
Mr.Childrenというバンドが一体何処に向かっていくのか世間が気にする中発売された名盤。


M01.「Dive」
M02.「シーラカンス」
作詞作曲 桜井和寿 
編曲 小林武史&Mr.Children

深い深い海に飛び込む音。沈むという事がこのアルバムにとって、そしてこの時期の桜井和寿にとって何よりも大事なキーワードなのだ。雑誌やテレビ、様々な媒体でマイナスな発言が飛び出しており、ひとりの人間としての苦悩やバンドのこれからの発展などといろいろ抱えたものを包み隠さず進もうと決めたのだ。

チェロの音色のまま次曲に繋がり、低音で大人しめに歌う桜井さんと共にアコースティックな雰囲気を見せるが一変、ロックするように田原さんのエレキが入り加速していく。プロデューサーの小林さんが仰ってたようにメンバーが奏でる音は前年に行われた洋楽カバーをメインとしたLIVE  UFOより得たものとして演奏者、表現者としての音へのこだわりが強く感じられる。

何故「シーラカンス」なのか?それはアルバムタイトルにもある「深海」にも思える疑問点。桜井さんが25周年のLIVEの際に「10周年を迎えた時におめでとうと言ってくれた僕らの周りにいてくれたファンはそのうち離れると思ってた」なんていう言葉を汲み取ると売れて生活が一変した25.6歳の尖や素直になれない言葉であり、地位と名誉を手にしたその先に待ち構えていた未開拓な地であったと思う。

いずれは自分たちも「シーラカンス」のように絶滅し「深海」のような場所に沈むのか?とふと迷う時もあったかも知れない。
でもMr.Childrenは違った。
「でもこうして25年も経った今でも見渡せば分かるように沢山のお客さんが会場に来てくれる事に感謝している」25年を超えて30年、意気込みは50年目まで…そして彼らは超えられない壁になるのだ。

M03.「手紙」
作詞作曲 桜井和寿 
編曲 小林武史&Mr.Children

前曲「シーラカンス」から途切れず繋がっている。必ずしも出逢いがあるから別れがある。それなのにお別れを告げる曲が先に流れるんですよね。次曲の「ありふれた〜…」は若い2人が出逢い一緒に暮らす、いわゆる恋愛の最初期の部分を切り取った曲であってここの順番を逆にしてるあたり乙だなぁと思ったり。

昔、桜井さんが大先輩の陽水さんに「母親の愛情から飢えた子のようなイ行の発音」という陽水さんらしいエッジの効いたお褒めの言葉頂いていましたがこの楽曲では特に低音域が際立つ曲でして、桜井和寿というシンガーの発展途上な様が感じ取られる。


M04.「ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

発売された当時桜井さんは26歳。もう既に人生を何周もしたかのように愛というものを俯瞰的に見ていてこの頃から、というかデビュー当初からラブソングを上手に書く方だなぁと惚れ惚れしてしまう。何処にでもある様な幸せな二人を描いた楽曲に見えつつ陰の部分だったりなにかマイナスな事を少しずつエッセンスとして曲の中に入れていて、だからこそリアルで感情移入しやすいストーリーになっている。Mr.Childrenが大衆に受けた理由の1つでもある日常感は根底にあるものなのかなと思います。

サウンド面で言えばあのBEATLESの「Hello Goodbye」のサビで使用された♪ドレミファソラシドが使用されています。そんな小ネタを気にしながら是非視聴してみては!

M05.「Mirror」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

桜井さんが山形県に訪れた際に浮かんだ曲だそうです、桜井さんの山形県にまつわるエピソードは多数ありその中の一曲がこの「Mirror」であり
安らぐように合間に収められたこの楽曲ですが後にベスト盤にも収録されたりLIVEでも度々披露されるフォーク調のシンプルなラブソング。

あなたが誰で何の為に生きてるか 
その謎が早く解けるように
鏡となり 傍に立ち あなたを写し続けよう
そう願う今日この頃です

Mr.Children「Mirror」より引用
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

一見、鏡というものは自分自身を映すものだと思ってしまうのだが僕が貴女の鏡になるという逆説的な発想は流石である。僕が君の鏡になって映すよってそりゃモテますわな…笑

M06.「Making Songs」
M07.「名もなき詩」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

このコンセプトアルバムが名盤である理由として1つ挙げたい理由としてこのシングルセールス230万枚を記録した代表曲が浮かないということだ。桜井さんがその楽曲の中で1番伝えたい事は2番に持ってくるとおっしゃってるように邦楽史上トップクラスに素敵なフレーズが飛び出ます。

愛はきっと奪うでも 与えるでもなくて
気が付けばそこにある物

Mr.Children 「名もなき詩」より引用
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

このフレーズは誰でも簡単に発想できて言葉にできるものではない気がして桜井和寿という1人の男が辿った道がこういった言葉を産ませたような気がします。上手な表現や分かりやすい表現、そういった類の括りには属さない特別な楽曲のひとつ。併せてドラムのシンコペーションや間奏部分のスライドでのギターソロ。そして何よりCメロで駆け抜けるような早い言い回しを過ぎ、転調する。圧倒的である。もし90年代J-popで1番気持ちの良い転調選手権があれば間違いなく1番に挙げたい。

M08.「So Let's Get Truth」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

ギター1本で歌い方や声色もだいぶ長渕さんに影響受けていますが笑
イントロ、ドアを開けるような立て付けの悪い音が聴こえますが、アルバム中盤戦ちょっとずつ政治的な、風刺的で攻撃的なナンバーが続くそのドアを開けたように社会への鬱憤が晴らされていきます。

このあとMr.Childrenはこの名盤を引っ提げてコンサートを行いますが、その中盤でアルバムの曲順のまま披露されました。この楽曲においてのLIVEヴァージョンでは2番の歌詞が一部変えられて歌われています、是非そちらもご覧になってみてください。

M09.「臨時ニュース」
M10.「マシンガンをぶっ放せ」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

結論から話すとこの楽曲はアルバム発売の2ヶ月後にリカットシングルとして発売される。当時リアルタイムでこの楽曲と向き合っていたファンの方はMr.Childrenがどうなっていくか考えたりしたのか?と発売から20年以上経った今なら思ったりもする。つい2年ほど前に「innocent World」や「Tommorow never knows」を発売したバンドの降り切り方に驚いた方も多くいたと勝手に想像しますが、いわゆるこういった政治色の強いアプローチは今までのMr.Childrenにはなかったジャンルではあってこれがその当時伝えたい思いだったのであろう。いわゆる世間一般が知っている「売れた」と言われたアーティストが出した答えなのだ。

またどうしても歌詞面やバンドの方向性に目が行きがちではあるがサウンド面でもドラムを叩くjenさんのバリエーションの豊富さをこの頃から感じれる。ハットの音が心地よし。精神面でもバンドの骨格面でも偉大な存在なのだ。

M11.「ゆりかごのある丘から」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

元々は全然アレンジも異なったヴァージョンでインディーズ時代に披露していた楽曲でもありました。ただ確か歌詞はほぼこの完成系に近かったと記憶してます…20歳前後でこういった社会的なテーマを軸に作詞活動を行っていたという事実。
そしてこういったデビュー前から演っていた曲がこういった形で陽の目を浴びるという実力。

前曲は個人的にはとても無機質で強いエネルギーを感じるのですが、うってかわって、とっても優しい声でスーッと目を瞑ってその草原にいるような想像できると同時に争い事から目を背ける事なくその当時の事も刻々と鮮明に記憶として蘇り、我々が忘れてはいけない事を音楽というコンテンツで思い出させてくれる。

M12.「虜」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

Mr.Childrenの楽曲の中では少ない、一人称が「俺」であるナンバー。ひとりの男としての意志や若さなどを息遣いに含ませ、妙な色気を放つ。
この楽曲をレコーディングした当時とは環境も心境面も恐らくガラッと変わったであろう同一人物がその何年か経った後に披露されてもその時にしか出せない味わいがあるのが音楽の素晴らしさでしてね。

この頃発表されたあまりLIVEでは披露してされていない曲を聴きたいファンは多いであろう。
言わずもがな終盤にむけて繰り出されるゴスペル部分は僕たちファンを虜にする訳です。

M13.「花 -Mémento-Mori-」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

ことあるごとに歌って来たと思う楽曲で、桜井さんもこの楽曲に関しては相当手応えがあってミュージックステーションに出演された際にも20世紀に残したい曲として挙げていました。

桜井さんがどの時代も大衆に響く曲をかけた理由として自分自身が気に入った傑作だと思う作品が世間の評価とズレが少ないからだと思う。本人は良いと思ってるがあまりウケない、これが1番ストレスな訳で。本人としても満足、ファンとしても大満足!もちろんそのアンテナを張り巡らせてるのは桜井さん本人であってそこ目掛けて投げ続けれる努力は計り知れないものである。

M14.「深海」
作詞作曲 桜井和寿
編曲 小林武史&Mr.Children

無論、一個人の感想でしかないのだが本編最後の水の音。様々な意見があるとは思いますが僕自身は深海から沖に上がってくる音として捉えてました。でもその反対に更に沈んでいくと捉える方もいるだろうしそういった意味ではパッケージが上手だなぁと思いますが、リアルタイムで聴いてたら沈んでいく様に聴こえたかもと思えた。現状今年30年を迎えたMr.Childrenを知っているから深海から這い上がってくる様を見たから言えたのかもしれない。(現に「深海」発売後のツアーコンセプトはOUT OF DEEP SEA(深海からの脱出)ツアー名"REGRESS OR PROGRESS"(進化か退化か)紛れもなくMr.Childrenにとって大事な瞬間が収められた名盤なのである。

アウトロが個人的にはこの頃のMr.Childrenにはあまり無かった長めのギターソロがBEATLESの「The End」を彷彿させる。BEATLESはその後惜しくも解散してしまったが彼らはその後解散したがMr.Childrenはこうして今も日本の音楽シーンの前線に立っている。唯一の相違点である。そして何年経っても人の心を揺さぶる音楽を届けてくれる事は類似点である。


アルバムを聴いた後にちょこっと自己分析!
この名作を産んだ後にバンドは長期のツアーに出掛け活動休止という道を歩むのですが、それは決してはマイナスなものでは無い。バンドが30年続ける為に必須の期間であった事をこの名盤を聴く度に思い出す。


皆さんから皆さんへ名盤の輪をかけて
どしどしレビューして欲しいあなたが選ぶ名盤を
お待ちしておりますっ!

※「 」の中身等はMr.ChildrenのLIVEの演目の中で出てきた発言を引用させて頂いている部分があります。

※ ※個人的解釈、個人的意見になります…
間違った意見には情報をください…

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