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地元に戻って好きを仕事にする

神奈川県横浜市から故郷の福岡に移り住んで、事業を始めてから1年

どんなことがあったか
どう思ったか
これからどうしたいか
皆さんに知ってもらいたいのと
移住、起業される方に少しでも参考になればと思います

少し経歴

福岡県北九州市で育ち福岡大学卒業後、横浜の企業に営業職として就職しました。
9年半勤めさせていただき2018年に退職。

退職後は、取得した日本茶インストラクターの資格を生かして2020年6月まで、自主イベントや講師を行いながら、当時住んでいた大好きな弘明寺商店街にて、シェアショップの「アキナイガーデン」を借りてワークショップや週一回の喫茶を開催していました。
アルバイトもしながら。

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(日本茶に興味を持ったきっかけなどはHPにて→http://homaresabo.com

2年間活動する中で、本格的にお茶を生業としてやってみたいという気持ちと、
仕事を暮らしの中の一つとしてとらえて、町や地域の人との関係、家族を大切にしながら生活したいと思うようになり、故郷の福岡県直方市に戻ることを決断。

2020年11月、実家の営んでいる材木店の使っていなかった建屋を活用して、小さな茶工房を開き「誉茶紡」という名前で起業。
茶農家を旅しながら茶葉を仕入れ、伝統や環境に寄り添ったこだわりの日本茶を販売しています。

1.動いてみる

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2020年7月に移住。
戻ってからは、ジタバタしていました。
“すぐ動かなきゃ!”という焦燥感もあって、じっとしていられず。
横浜で活動していた時の感覚を忘れるのが怖かったのか、何もしない自分に耐えられなかったのか。そんな感じです。

戻って3日後には、茶工房にする予定の建屋に向かっていて掃除を始めていました。

その建屋は、木造の2階建て。もう10年以上使われておらず、中は祖父母の住んでいた家の使わない荷物がひしめき合っていて、雨漏りもしているし埃だらけだし、息をするのも怖い…。夏だったけどマスクを2枚して掃除をしました。

掃除は母が手伝ってくれて。というのも、荷物の中で捨ててよいものとそうでないものの区別がつかなかったので、二人で汗だくになりながら作業しました。

余談…
祖母は健在ですが、老人ホームに入居しており認知症気味なので、必要のないものをどうしたらよいかというのは課題でした。
まだ使えるものもあるし、立派なものもあるけど、実際は使わない。捨てるか。。と思ったとき“良いもの”が失われていくのはこういう瞬間なのだなと実感しました。

荷物を片づけたりするのに2か月くらいかかったかな。
10月くらいから、やっと内装のペンキ塗りとかDIYっぽいことができて、その辺りは楽しかったですが、それまではなかなか進まなくてじれったい日々でした。。。

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2.車が無くてよかった


店は、実家とは別の場所にあり、車では15分ほどの福岡県直方市という街です。

私は車を持っていなかったので趣味のロードバイクに乗って通っていました。
それでも20分くらい。近くの河川敷のサイクリングロードが整備されていて快適

今考えると、“車がない”という状況がとてもよかったなと思います。

地元は田舎なので、最寄り駅も30分以上歩くし、生活圏内に交通機関がないので車が必須なのですが。
歩くのと、車とでは見える景色が全然違って、町の空気感とか、どんなお店や家があるのかとか、どんな人がいるのかとかすごくキョロキョロしながら歩いていました。
怪しかったと思います。

直方市は高校時代を過ごした街ですが、雰囲気が全く変わっていて

駅前の商店街は半分くらいシャッターが閉まっているし、ほとんど人が歩いていない。

高校時代はもっとお店があって、学校帰りに友達と商店街を歩いたりしていたのに。。静かな商店街をみて寂しくなる。

町の気になる店や場所に行ってはみたものの、
学生時代は、地域活動に全く携わってこなかったので、頼る人もおらず“地域の人との関わり”もどうしてよいかわからなかった

そんな中、戻って3日目の帰宅途中、自転車のチェーンが外れて。
たまたま目の前にキッチンカーとサイクルスタンドがあったのでそこで修理をさせてもらったのですが、

その時に出会ったキッチンカーの店主が、運命の人でした

直方市に流れる一級河川の遠賀川流域でイベントを企画しながら、町を盛り上げる活動をされている団体(のおがたわくわく実行委員会)の代表の方で、お話をさせていただく中で意気投合。

チェーンは外れたけど、歯車が回ったような音が、したような。。

ちなみに今は車があるので、運動不足が課題です!

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のおがたわくわく実行委員会主催のサイクリングイベントに初参加した時↑↑

4.すこしずつ広がる輪


その後イベントに誘っていただいたり、数日後には、地域活動拠点の「仮想未来区役所 囲炉裏」をご紹介くださり、すぐに足を運んで。

“動ける”ことがうれしかった。

そこでも偶然、その施設の店番を募集されている最中で、地域のことも知ることができて、いろんな人と出会うことができるのではないかと思い、店番をさせていただくことになりました。

それからは、「囲炉裏」の店番をしながら、「誉茶紡」の建屋の掃除や準備を並行して進めました。

「誉茶紡」の行政的な云々に関しては、高校の同級生が市役所に勤めている情報をゲットして、同級生を頼っていろいろと教えてもらいました。
保健所に行ったり、創業に関することを商工課の方に教えてもらったり。

驚いたことは、ところ変わればルールも全然違うこと。
横浜では厳守だったことも、こちらでは不要だったり、その逆もあったり。

嬉しかったのは、地元に戻って創業することに対して皆さんが歓迎してくれたことです。

初めに相談に伺った市役所の方は、商工会議所で行っている“創業スクール”に招待してくださって勉強をしました。
今でも、難しいことは商工会議所の方におんぶにだっこで教えていただいています。

その時知り合ったスクールの同期も、コラボでイベントをしたりいろいろな相談をしあったりと大切な存在です。

それから、小さいころ町内会で一緒に遊んでいた近所のお兄ちゃんが、直方市の非公認ゆるキャラになっていたり、学生の頃はそんなにつながりがなかった同級生が経営者になっていて、よく話をするようになったり、びっくりすることもしばしば

自分の目線を変えることで、いままで見えていなかったつながりを感じられることを実感しています。

5.関わりをもつ

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少しずつ地域にも慣れ、よし。自分も一歩踏み出して関わらせてもらおう。
「のおがたわくわく実行委員会」に誘っていただいた遠賀川河川敷のイベントに、2020年の11月「誉茶紡」として初の出店をしました。

私の事業は、茶農家から直接茶葉を仕入れて自分でパッケージして茶葉を販売します。
茶園の作業を手伝わせていただきながら、市場ではあまり出会えない珍しいお茶を販売することにこだわっています。

11月のイベント前は、HPを整えたり、パッケージデザインを考えたり、茶葉を仕入れたり、想像以上に時間がかかって、とても苦戦しました。

この時の反省は、一度にたくさんの商品をそろえようとしたところかな。

初めからちゃんとしたものを作ろうと意気込みすぎて、自分で自分を苦しめていたような感じです。
満足いくものを提供しようという想いも大切なのかもしれないけど、時間は戻ってこないので、スピードが大切なこともあるな。と反省。
少ない数でまずは少しずつ初めて見ればよかったなと思います。
悪い癖で、いまでも治ってない。。。

でもこのときは、地元の友達が(家族総出で!)手伝ってくれて、本当に心強かったです。地元で活動するってあたたかいし、みんなでやるって楽しいなと感じました。

出店させていただくとまた見える世界が違って、出店されている他のお店の方とお話ができたり、友達が訪ねてきてくれるのもすごくうれしかった。懐かしいのと、「直方に久しぶりに来た!」と、私自身が、友達が町に来るきっかけになれたことがうれしかった。


6.家族の理解


それ以降は、商品、チラシ、包装などをブラッシュアップする業務と並行して、地域にある行ってみたい店や会いたい人に会いに行く日々。。

その中で、たまたま偶然。
西日本新聞の方が取材をされている現場に遭遇しまして、一緒にお話を聞かせていただく機会をいただきました。

それがまたして運命の出会いでして

地域の“気になる人”という記事を担当されている記者の方で、私の自己紹介をしたところ、なんと取材をしてくださることになりました。びっくり。

まだ、何も始めていない私でしたが、拠点を故郷の直方に移したこと、母の影響でお茶を始めたこと、地域の方との出会いの中で活動を楽しめていること、直方と横浜の街をつないで面白いことをしたいという想いなどを記事にしてくださいました。→記事

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反響は大きく、祖父母のころからの知人の方が店を訪ねてきてくださり、祖父母の話や昔の街のことを楽しそうに話してくださいました。

これまで知らなった祖父母や両親の軌跡を感じることができたことと、町の方からの応援の声がいただけたことが本当にうれしく、心強く感じました

そして実は一番うれしかったことは、今まで私の事業に批判的だった父が喜んで応援してくれるようになったことです。

故郷に帰ってきたのも、家族を大切にしたいという想いがあったので一歩前進できたような気がしました。

7.生活のこと


何か楽しいことばかりだったような感じですが、現在は両親と3人で暮らしていて、突然両親と暮らすとなると初めは戸惑うこともたくさんありました。

オンラインミーティングをしていると、父が“娘が怪しいことをしてる”みたいな目で覗きに来るし、毎日電話かけてくるし(笑)

この辺りは冗談ですが、やはり離れているときにはわからなかった両親の老いを感じて、寂しさと責任感を強く感じました。
しっかりしなくてはな。と。

それから、本屋さんが少ないのもいやだなーー。
あと、歩いている人がいないので、歩いているとジロリと見られている気がします。
自意識過剰かな??
最近気にならなくなりましたが、そんな時は、道端の草を見ながら歩いていました。

すごく好きなのは家の裏にある、近所のおじちゃんたちのシェア畑。
シェアっていうと、はやりな感じがしますが、ずっと昔からおじちゃんが農作業をしていて、だんだん人数が増えていつの間にか何人かで管理するようになったので。自然とシェアの形ができたのが素敵。
そして、夏になるとできた野菜をたくさんくれます。
大切に育てた野菜の採れたてを味わえる贅沢!最高です、

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8.茶農家とのつながり


お茶の話に戻りますと

コロナの前は、農家さんが直接販売に来るイベントがたくさん開かれていて、私もいつも参加していたのですが、そんな機会もなくなり。

どうしようかなと思っていたら、以前イベントで知り合った農家さんが、私が九州にいることを知って連絡をくれたんです。

すごくうれしかった。遊びに来んねー?って誘ってくれたのですぐに伺う。

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それから茶農家を手伝わせていただいて、いろんなことを教えてもらって。

それまでは、お客様にお茶をお出しする時間に魅力を感じていたのですが、お茶農家さんにじかに伺ってからは、農家さんのお茶に対するこだわりとか想いに感動して、その想いも伝えていけたらいいなと思うようになりました。

それでいまは、農家さんがあまり市場に出していないような変わったお茶ばかり販売しています。

9.もっとこうだったらいいのにな


と思うことのひとつは、地域で活動している人と出会える場、情報交換ができる場がもっとあったらいいなということ。地域の現状や魅力を知ったり、どんな思いを持っている人がいるのかとか、自分のやりたいことの入り口を見つけられたりするような場所が欲しいなと思いました。

活動していると、直方の街が好きな人、盛り上げたいと思っている人がたくさんいて、その反面、この町はもうだめだと思っている人もたくさんいて、すごくもったいないなと思うのです。

このギャップが小さくなるような、魅力をたくさんの人に自覚してもらえるような、何かがあればいいな。

それから、私の実感ですが、学生の頃にもっと地域とかかわりを持ちたかったなということです。その頃は興味がなかったのは事実なのですが、自分の住む街を知ることは、生活の豊かさにつながるのではないかなと思うのです。

あとは、、私もそうですが、“この町が好き”という気持ちが強い分、ほかの街に壁を作ってしまっている部分があるのではないかなと思って。直方という街は、長崎街道の通っていた町でもあり、町のシンボルでもある遠賀川もあって、魅力的なつながりがたくさんあるのです!
何やら面白いことができる予感です。

みんなで課題を出し合ってこういう想いを共有できる場が大切なのかもしれない

10.やりたいことは

帰ってくるときに決めていたことは、“やりたいことをきっちり決めない”ことでした。

お茶にかかわる事業をすること、茶葉を販売することは決めていたのですが、コンセプトというか、だれのために、何のために、みたいなところは、実際に現地で考えようと思っていました。

それは、仕事を地域や暮らしの中にある生業にしたくて、そのためにはやっぱり、そこに住んでいろんな人と話して、いろんなものを見て、その中でどんなことをしたいかを決めたかったからです。

とてもうれしいことに、茶葉を販売するのにイベントに出店したり、店にお客さんが来てくれたりする中で、「喫茶をやってほしい」という声をたくさんもらえるようになりました。

どんな店がいいですか?という話をするとみなさん、「町に友達を連れてきたいからゆっくりする場所がほしい」という声が多くて。“町に友達を連れてきたい”というのは、きっとこの町が好きということ!ですよね?なんだかそれがうれしくて。

町の魅力をつなげる喫茶。おお。やってみたいな!となっています。

もうひとつ、福岡に戻るときに思い描いていたのは、横浜から去るというイメージではなくて、福岡でも横浜でも活動できるような事業でした。

コロナで想像よりも距離のハードルが高くて、いつになるかわからないけど、2拠点の活動ができたらいいなと思っています。

できることから、ということで、シェアショップ「アキナイガーデン」のオーナー夫婦と“オンライン小商い”を企画してみたり、シェアショップの利用者の方のミーティングに参加させてもらって、何か一緒にできないか、探ってみたりしています。

また、YADOKARI株式会社が横浜みなとみらいで企画したイベントにもオンラインでかかわらせていただきました。
いつか、直方の街と、横浜の街を面白くつなぐ企画ができたらいいな。今は妄想だけ。

今後は


誉茶紡のある建屋は、住宅街の中、川の流れる小さな公園の前にあります。

最寄りの直方駅からは徒歩15分、商店街からも5分ほど離れています。

でも、商店街を抜けた先には、昔ながらのレトロな建物が多く残り、その建屋を活用したカフェやコミュニティスペースもあって、町の景観を大切にした通りがとても魅力的です。

誉茶紡のある場所はその中でも端のほうですが、大通りから一本入った道は静かでのんびりと落ち着いた雰囲気

現在は茶葉の販売しかしていませんが、この場所で喫茶をやりたい。
日本茶を通じて、町の中で友達とほっと一息つける場所を作りたい

1年~2年後を目指して

そして、活用したいなと思っているのが、店舗の裏の敷地。
イベントができるような施設にできたらよいなとぼんやりイメージしていますが、町にとってどんな場所がよいか、維持継続していかなければいけないのでたくさんの方に使ってもらえるような場所。

悩んでいたのですが、
そうだ。聞いてみよう。
と思い立ちまして

やりたいことに向けて
いろんな方にインタビューさせてもらいたい!

街の好きなところとか、どんな街にしたいかとか、どんな場所があったらいいかとか、聞かせてもらえたらいいなー
ただいま企画中ですので、ぜひご協力よろしくお願いします!

ながーーくなりましたが、
道半ば、まだまだ始まったばかりなので
これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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