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PERCHの聖月曜日 16日目

絵を描くことについて、お話ししようと思います。絵を描くことが自己表現に関わると考えたことは、これまで一度もありません。絵とは、自分以外のひとに向けた世界に関わるコミュニケーションにほかなりません。このコミュニケーションの内容に納得すると、世界は生まれ変わります。ピカソ、あるいはミロ以降、世界はそれまでの世界とはまったく別のものになりました。ふたりの世界の見方が、わたしたちの物の見方を変えたのです。美術に関するかぎり、自己表現の教えはすべて誤りです。自己表現は心理療法の分野に属します。自分自身を知るのが貴重なのは、そうすれば作品制作の過程から自己を排除できるからにすぎません。このことを強調するのは、自己表現の過程そのものに多くの価値を見るひとがいるためです。美術作品の制作はそれとは別問題であり、わたしは仕事としての美術について語ろうと思います。

––––マーク・ロスコの言葉(木下哲夫 訳)『マーク・ロスコ』川村記念美術館,2009年

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