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人間はだいたい、不幸が好きだ

人間はだいたい、不幸が好きだ。と思う。
普通に生きていれば、ハッピーエンドなはずなのに、マイナスに考えて、不幸に酔いしれている。日本人に限った話…ではないかもしれないが、どうにもネガティブ思考の人が多いような気がする。

私もそのうちの一人だ。何も考えなければ、そんなに悪いことは起きていないはずなのに、思考をぐるぐるとめぐらせ、悪い方に悪い方に考えていく。不幸というものに浸っているのだ。

初めの方に「普通に生きていれば」とかいたが、普通というのは人によって違うし、育った家庭環境や、現在や過去の周りの環境、心身の病気や怪我によって、普通に生きていても、なかなか毎日がハッピー!とは生きられない人もいる。

私にはどうも、そういうちょっとした、不幸、と言ってもいいのかわからないが、深みを持っている人々がとても魅力的に思える。
以前劇団にいた時、夜の仕事をしていたり、色んな家庭環境の女の子が何人かいた。その子たちは、美しく、強くて、どこか儚く脆い。本当に綺麗だと思った。彼女たちのお芝居にも深みがあった。

私は、どこかそんな彼女たちに憧れていて、不幸に酔うことが好きなのかもしれない。

だけれど、最近、不幸に酔うことの弊害が出ている。以前までは、夜にマイナスな思考を巡らせていても、朝起きて仕事に行く時にはすっかりそんな気持ちは無くなって、明るい気持ちで日中を過ごしていた。
しかし最近は、コロナ禍にあり、会いたい友人にも会えず、やりたいことも思うようにできない。先も見えず、正解の道もわからない。朝になっても、昼になっても、マイナスな考えが常に頭に浮かぶ。ぐるぐると、悪い方向に実際に進んでいく。心に限界が来ている。

こんな時こそ、不幸に酔うことをやめて、幸福を好きになってみようと思った。部屋の電気をつけ、天井を見つめて、たまには楽しい思考を巡らせてみよう。

…うん、なんだか視界が広がった気がする。息も吸いやすくなった。そういえば、明日は友人とご飯に行くんだった。1週間、1ヶ月、1年先の未来に対する不安を持ちすぎて、なんだか忘れていた。そうだった。わくわくしてきた。

しばらくは、好きだった不幸にまたね、と別れを告げて、幼い頃はとても仲の良かった幸福と、もう一度再会しよう。みんなのそばにも、きっと最初から居るはず。

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