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見えている色が同じじゃないとしたら

この色、なんて説明しますか?
そして説明する相手の「色覚」が多くの人と異なるとしたら?

色覚特性(色覚異常)

「色盲」「色弱」などと言われていた目の特性の一つ。
色の認識・識別が多数派と違うタイプだということ。一般的に赤緑色弱といわれているのは赤と緑の区別がつきにくいタイプで、世界的にはおよそ2億5000万人の色覚特性を持つ者が存在するといわれている。

(参照:メガネスーパー

ある人はシンプルに「紫」

別の人は「紫がかったグレー」

はたまた「ラベンダーを曇らせた感じの色」と表現する人もいるかもしれません。

個人的には四十八茶百鼠の中の「源氏鼠」に近いと思っているのですが、これが伝わる人はほとんどいないでしょう。笑

この色、自分で指定して染めてもらっていながらなんですが、もともと一言では表せない「なんともいえない」色なんです。

なんともいえなくても「綺麗なのは見てもらえばわかる」と思っていました。でも、そうもいかないし、結局そうかもしれないと思わされる事があってこれを書いています。


そのお客様は、ご自分で「色盲なんです」とおっしゃっていましたが、一緒に藍染めのシャツを見て綺麗ですよね〜と共感してくださったし、一部の色だけが見えにくいようでした。

写真のなんともいえない紫がかったグレーのような色を見て

「綺麗ですね〜」
「これは……みたいな感じですか?」

と。
一言で表せない複雑な色味で、それが綺麗だとは感じてくださっているけど、見え方が全く違う。

記憶の中で「これはこんな色だ」と認識しているかもしれない固有名詞を使いながら「小豆、、に牛乳を加えた感じでしょうか、、」「紫陽花にもこんな色のがありますよね、、」とやりとりしながら色のイメージを共有していきました。

結局、その「綺麗な色」のシャツをオーダーしてくださったのですが、なんとも新鮮な体験でした(誤解のないように、そのお客様は色覚特性の事を後ろ向きに捉える様子もなく、やりとりを楽しんでくださっていたと感じたので、それも含めて新鮮だったということです)。

見え方が違っても「綺麗だ」と認識できる色をご用意できたことは嬉しかったのですが、「これは何色ですか?」と聞かれた時のボキャブラリーはもっと鍛えないといけないと思いました。

これ、あなたには何色に見えますか?

オーダーという業態を選んだ時点で「無駄なものを作らない」が頭にありました。これまでもこれからも、ちゃんと袖を通して着倒してもらえるシャツ作りを続けていきたいと思います。