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たとえそれが「監修」という仕事だとしても

見聞きしたことがある方もいるかもしれない「ケニシャツ」
keniamariliaというブランドのシャツだ。
すべて着物で作られていながら、普段着として取り入れやすいように考えられている、シャツ屋の僕から見てもかっこいいシャツ。

この長袖シャツのリニューアルを監修させてもらう幸運に恵まれた。

最初、代表の座波さんからは「もうちょっとシュッとさせたいんだよね〜」と、なんともざっくりした依頼をもらった。
ひとまずサンプルを試着させてもらうと、ホーローシャツのシャツと近いものを感じる。だからというわけではないけどすでにシュッとしてるように感じた。でも確かに気になるところはある。そして、座波さんの話を聞いていくと、やりたいことが具体的にわかってきた。

目指したい見た目や雰囲気、機能はあるけど方法が定まっていない。
これは僕の仕事だなと思った。

普段シャツのオーダーを受ける時も、多くのお客様は欲しいシャツについてぼんやりしたイメージしか持っていない(もしくはノープラン。笑)。
そんなところから質問しながらお話をしたりして、具体的にどうすればどう見えるかを説明しながらシャツのデザインを決めていく。

だけど今回はブランドのシャツの監修だ。
いや、今回も一緒だ。

話を聞いて最適な仕様と方法を示す。普段お受けするオーダーと変わらない。
違うのは、それが座波さんのフィルターを通してたくさんの方に届くということ。
なので、今回のミッションは「座波さんが納得して良さを叫べるシャツを作ること」。

余談かもしれないが座波さんは声が大きい
文字になっていても大きいが、一度会って話すとそれ以降はその文字が座波さんの声で再生されるくらいには印象に残る。

でも、大きな声は「本気でそう思ってる」時でないとなかなか出せないと僕は思っている。それでいうと、座波さんはその時点で本気で納得したものを愛を持って大声で伝えているのである。

本気にたどり着くには妥協は許されない。
「まあこれくらいはいいか」を見逃してはいけない。
座波さんはその点しつこく粘る。執念すら感じた。
そしてその執念をレシーブしつつ時にはアタックすることで出来上がったのは、外見はシンプルでサラッとした見た目ながら変態的な仕様のシャツ。僕の方から工賃の心配をしたくらいだから相当やばい。
詳しくは一連のツイートを見てほしいが、こんなシャツは他にない。

発売日には、自分のブランドのシャツでもないのに緊張したけど、あっという間に60着が完売…すごいとしか言いようがない。
そして、シャツを受け取った皆さんの言葉で安堵。仕事ができた喜びを噛み締めた。

今回は監修という立場で生産には関わらなかったが、あれを縫い上げた工場にも大きな拍手を送ってほしい。一度縫ったけどあれは大変だよ。笑

次の発売は2月とのことで、次は遠慮なしに僕も狙いにいこうと思う。なんせ自信作ですから。

最後に座波さん、声をかけて下さってありがとうございました!
組む相手に選んでくれて嬉しかった!!

オーダーという業態を選んだ時点で「無駄なものを作らない」が頭にありました。これまでもこれからも、ちゃんと袖を通して着倒してもらえるシャツ作りを続けていきたいと思います。