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傑作コレクションから考えるアートの役割の変化

久々のアート鑑賞に心躍らせロンドン・ナショナル・ギャラリー展へ。

入場時間予約制、モニターによる体温チェック、アルコール消毒など、感染リスク対策がしっかりされていて、安心して鑑賞出来ました。

入場時間予約制って素晴らしい🕰

入場時間予約制は、コロナ前から日本でも導入する展覧会が増えていましたが、今後もスタンダードになるといいですね。人気の展覧会に行くために有給取ったり、休日に芋洗い状態で鑑賞するのは、だいぶストレス。『映画は予約制なのに美術館は違うのってなんでだ?』ってずっと思っていました。コロナをキッカケに様々な変化が起きて、『何でもっと前からやらなかったのか?』と感じる事が多いですが、美術館の時間指定もそのうちの1つです。

ゴッホのひまわりは食後酒です🍷

さて、本題のロンドン・ナショナル・ギャラリー展は開幕前からゴッホ、レンブラント、フェルメールを含む、61作品が日本初来日である事でも話題でしたが、その筆頭がゴッホのひまわり🌻
展覧会のキービジュアルにも使用され、実物を見たい!と思った方も多いと思います。

ただ、今回の展覧会では、ゴッホのひまわりは食後酒的な役割で、そこに辿り着くまでのフルコースが素晴らしい!前菜あたりにフェルメールが出て来て、ワクワクします。

ルネサンス期まで遡る第一章

今回の展覧会では、ルネサンス期、フランドル芸術、イギリス肖像画、風景画、フランス近代美術まで幅広い年代の作品がどのようにイギリスで育まれ、ムーブメントを起こして来たのかを辿る構成になっています。

まずは、ルネサンス期ですが、この頃は神話や宗教画が多く描かれた時代です。

引用:
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 公式サイト
https://artexhibition.jp/london2020/

イタリアの画家、クリヴェッリの作品から展覧会の幕が上がります。
この頃の絵画の役割は文字の読めない人にも聖書を伝えるためのもの。
この絵も数々の画家が描いた受胎告知がテーマ。聖母マリアが神の子を身篭ったことを知らされるシーンの他にも、様々なモチーフが丁寧に描き込まれ、囚われの身となる未来から、復活を遂げるストーリーまでをカゴの中の鳥と孔雀🦚を描き入れ、寓意を持たせています。この中には膨大なコンテクストが含まれ、見る人々がそれを感じ取っていたとするならば、中世の人々はとてもハイレベルなコミュニケーションをしていたのではないかと思います。

現代は一部の地域を除けば、識字率は100%に近いわけですが、絵画の物語を伝えるという役割は既に終えたのでしょうか?

昨今、画像でのコミュニケーションが増えていて、テキストは読まれなくなってきています。誰もが当たり前にしている写真をシェアする行為は、写真一枚にどんなメッセージを込めて共有するのか、その人のセンスが問われているようにも感じます。そういう意味では、この時代の絵画から学ぶことは多い。

これは逆の意味に捉えられる可能性もあるなとリスクヘッジをすることも出来るので、現代人にとって大切なスキルの1つ。1枚の画像から様々な意味を読み取る能力はこの時代の絵画で鍛えるのがいいかも知れません。

今も昔もポートレイト残しがち👩‍👧‍👦写真は肖像画に成り代わるのか??

ルネサンス期以降、貴族達の間では肖像画を描かせる事が流行り、イギリスでも肖像画の需要は大変高かったそう。

この頃の絵画の役割は写真のようなものだったのでしょう。まだ写真がない時代、自分の姿を記録し、生きている証を残したいという理由の他、富と名声を伝えるという意味もあったと思います。

引用:
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 公式サイト
https://artexhibition.jp/london2020/

いくら精巧な絵でも写真のように姿形をそっくりそのまま残すことは不可能。だからこそ、その人物の内面を浮き彫にし、その人らしさが表現されている肖像画が生まれ、価値が見出されたのだと思います。

写真が発明されときに、長く続いた肖像画ブームがな消え、芸術は死んだと言われていたようですが、写真はあくまで目に映ったままをリアルに切り取る道具に過ぎず、現代のような優れたフォトグラファーがいなければ単純な記録で終わってしまう。

きっとこの時はまだ絵画と写真はうまく共存できていたのでないかと思います。

目に見えないものを描き、新たな境地へ

肖像画にしかない価値があると言いながらもやはり、写真の精巧さには敵わない。画家にとって写真は芸術の破壊だったのでしょうか?

引用:
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 公式サイト
https://artexhibition.jp/london2020/

もちろん、廃業した画家もいるかも知れません。そんな中、今までとは違う技法と表現を酷評されながら、最終的には圧倒的な支持を得た印象派の画家たち。

このルノワールの絵も劇場奥の観客はボヤけて揺らめいているようにも見えますが、幕が上がる前のザワザワとした空気を感じます。ほぼ人のカタチをしていないのに不思議です。

この頃から絵画はより想像力を膨らませて楽しむものになったのかも知れません。上手い下手ではない、その表現に至った経緯までを含めて作品を味わうような奥行きのある鑑賞をしていたのではないかと!

敢えて見たままに描かず、想像力を掻き立てるアートは娯楽の少ない時代に人々を惹きつけ、知的好奇心を擽り、お互いの持論を展開する良きトピックにもなっていたのでしょう。

まとめ

展覧会を構成している絵をざっと振り返るだけでも時代と共に絵画の役割が変化してきた様子がよく分かりますね。

今回はアートの役割という切口で展覧会を素人目線でざっくり振り返ってみましたが、他にも書き切れないほどの作品が紹介されています。

きっと足を運んでいただければ、ゴッホが食後酒であるという意味が分かっていただけると思います!

おまけ

アート×ウエディングをテーマにnoteを書くといいながら、予想通りほぼアートばかりの内容になってしまいましたが、ロンドンナショナルギャラリー展にちなんで、素敵なレストランウエディングの会場をご紹介します!

オーベルジュドリルトーキョー公式サイト
https://www.hiramatsurestaurant.jp/smp/aubergedelill-tokyo/

このレストランのダイニングには展覧会でも紹介されているトマス・ゲインズバラ作の2枚の絵が飾られています。肖像画なので貴族の女性に目が行きますが、元々風景画を描く事を得意としていたゲインズバラの描く背景にも注目です。

レストランには他にも素敵な絵画がたくさん飾られているので、お食事の合間に美術鑑賞も楽しめます🍴

結婚式ではイギリス様式の洋館を貸し切りに出来るので、本物志向の方にとってもオススメです👰✨

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