テオが教えてくれた最強のNo.2として生きる道
上野の森美術館で開催中のゴッホ展に行ってきました。
他の画家と一線を画す、力強い筆のタッチで多くの人々を魅了しているゴッホの生涯を総ざらいする見応えのある展覧会。
また、今回は弟・テオに宛てたゴッホの手紙と共に作品が紹介されています。ゴッホの感情を読み取りながら鑑賞出来るため、彼との距離が近くなったような感覚で作品を味わうことが出来ました。
今回の展覧会ではゴッホの画力に魅せられただけではなく、共通のビジョン・夢を持つことの大切さや働き甲斐について想いを巡らせました。
🌻フィンセント・ファン・ゴッホってどんな人?
まずはゴッホについて少しだけ紹介します。
・生きているうちに売れた絵はたった1枚
・生活力ゼロのため、弟の仕送りで絵を描き続けた
・不器用な性格で人付き合いが苦手。すぐに仲違いする面倒な人
・画家たちが共同生活をするユートピアを夢見てアルルに移り住むもそこにやってきたのはゴーギャンだけ(テオに頼まれて仕方なしだったみたい)
・ゴーギャンとの口論の末、耳を切り落とす
・癇癪を患い、病院で療養生活
・麦畑にて銃自殺
※その他の逸話も多数。
スキャンダラスなイメージが作品のインパクトをさらに強くしているようにも思えます。
ただ今回はそのような事実ではなく、自分の命を削ってまでもゴッホを支え続けた弟・テオの右腕力、そして主人公ではなくても作品に命を吹き込めるということについて触れたいと思います。
🌻同じ夢をみている人は強い
画商であったテオは兄の才能を見抜いていたかは定かではありませんが、給与の1/2を仕送りし、兄の生活を支え続けるなんて、どんなに愛する家族でもなかなか出来る事ではありません。しかもゴッホは食費と画材代を浪費するだけで稼ぎはゼロ
なんでそこまで出来たのか?
私なりの答えは『同じ夢を見ていたから』
10年間の画家生活の中でゴッホがテオに送った手紙は600通を超えているそうです。単純計算で6日に一度のペース。
芸術への溢れる情熱をしたためた手紙や周囲の画家仲間に影響を受け、日々完成度の高まるゴッホの才能を一番近くで感じ取っていたのではないか?
いつか絶対に世間に認められると確信していたから経済的にだけではなく、兄を励まし、絵を続ける環境を与え続けたのだと思います。
テオは現代で言うところの最強のNo.2でもあり、審美眼の優れた投資家だったのですね。
*生活を支える代わりに絵の所有権はすべてテオが持っていたそうです。
私は普段は支える側の仕事をするとこが多いですが、トップや仲間と一緒の夢を見れているか、語れているか、ここはすごく重要なポイントだなと思いました。
🌻何かを残せるという幸福
ゴッホ展を通じて考えたことをもうひとつ。
世の中に生み出される製品・情報・音楽・テクノロジーなど、誰が作ったのか?と聞かれたら便宜上、社名や個人名を出すことがほとんどです。でもテオのように主人公を支えた人は絶対に存在しているはず。
つまり、主人公になれなくても自分は何かの創作活動に関わっている可能性が高い。どんな些細なことでも表舞台には出ない地味な作業でも必ず自分の存在が残っているということ。
事実、ゴッホの絵を見ていると作品にテオの存在があると感じるものが多数あります。メインビジュアルの〈糸杉〉にも兄弟の積み重ねた月日を感じます。(展覧会では初期の作品から晩年作までをほぼ時系列で見ることが出来るので、ご覧いただければきっとお分かりいただけると思います!)
ゴッホとテオの生まれた19世紀に比べ、現代は生きた証を残せるチャンスが沢山あります。そんな風に考えるととても幸せで、どんな仕事にもやり甲斐が持てますね。
今週も頑張ろう🙌🏻
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